「来週の金曜日の午後から日曜にかけて、仕事は休めるか?」
早起きして少し余裕のある朝。マイクはワイシャツを羽織って、キッチンカウンターでコーヒーの香りを味を楽しんでいた。もちろん、ハーヴィーが淹れてくれたコーヒーだ。そんな時に、唐突にかけられた言葉。
「んっと・・・土日は基本休みだけど・・・金曜日はどうかな。まあ、立て込んだ案件はないから、休もうと思えば休めるとは思うけど・・・何?どうしたの?何かあった?」
マイクは両手でマグカップを持ったまま、首を傾げた。
「夏だから、少しは夏らしいことをしようかと」
「夏・・・。かき氷を食べる・・・とか?ああ、でもかき氷に二日半もかかんないよね。ごめん。わかんない。教えて」
「それは、君が休みを取れたら、教えてやる」
「えー・・・そう言われると、ものすごく、気なる。・・・わかった。絶対に休むよ。金曜の午後からでいいんだよね?新しい案件はできるだけ保留にして、今、抱えてるのも問題が起きないように前倒しで片付ける」
「君なら、できるな」
「そういうハーヴィーは?貴方は立場がいいから休めると思うけど、基本的に仕事大好き人間でしょ?」
「前にも言ったことがあるだろうが。今の俺は、何事もマイク・ロス優先だ」
「・・・そういうこと、正面切って、真面目な顔で言わないで。貴方、いい男すぎるから、その直球は心臓に悪い」
「惚れ直したか」
「・・・いつでも、惚れてるってば」
マイクは照れ隠しに、コーヒーに口を付けた。
スコッティのことがあって以来、マイクは以前よりも素直に自分の想いや感情を表現するようになった。思わず自分を卑下してしまうところは相変わらずだが、それでもたいした進歩だとハーヴィーは思う。コーヒーを飲み終えて、いそいそとスーツを着るマイクを見ながら、ハーヴィーは嬉しそうに目を細めた。
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そして、金曜日のランチタイム。いつもであれば近くのカジュアルなレストランに行ったり、フードトラックでサンドイッチかベーグルを買うマイクだったが、秘書のエイミーに「後をよろしく」と声をかけると、自分のオフィスを出て、1階に降りた。エントランスのガラス越しに、道路に停めてあるレクサスが見える。ハーヴィーが迎えに来る約束だった。マイクは後部座席のドアを開けると、するりとレクサスに乗り込んだ。
「ごめん、ハーヴィー。待った?」
「そうでもない。一応、君のランチタイムに合わせてきた。ああ・・・昼飯はまだか・・・」
「大丈夫だよ。まだ、あんまりお腹は減ってないから」
「そうか?だったら、空港まで我慢してくれ」
「空港?・・・空港に行くの?」
「ああ。ニュー・アークのリバティ空港。ここから車で30分くらいだ。そこでランチにしよう」
「どこに行くの?旅行なの?僕、何にも準備しないよ?仕事用の鞄だけよ?」
焦ったマイクはあたふたとする。しかし、ハーヴィーは涼しい表情で言った。
「君のスーツケースは持ってきた。もちろん中身の準備も万端だ」
「え・・・ハーヴィーが、用意してくれたの?」
「俺は朝から休んだからな」
「仕事優先のハーヴィーが・・・」
「言っただろう。マイク・ファーストだ」
「ちょっと!レイもいるんだよ!」
「彼は聞かなかったことにしてくれる。なあ、レイ」
「ええ。もちろん」
「めっちゃ、聞こえてるよ・・・」
がっくりと肩を落とす。
「・・・それで?何処に行くの?」
「ハンプトン」
「・・・ハンプトンって・・・前に行った?」
「ああ、そうだ。前回は車で行ったが、それだと時間がかかりすぎるからな。飛行機だと直航便で1時間半だ。ゆっくり、ハンプトンを楽しめる」
ハーヴィーの知り合いのコテージ。マイクも気に入った場所だった。静かで、海が目の前にあって。・・・今回は一体、何処に宿泊するのだろうか。
マイクは、柔らかいシートに背中を預けた。もう、じたばたしても始まらない。夏の短い休暇をハンプトンで過ごす。ハーヴィーと一緒に。それだけで、理由はもう、十分だった。
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ノーフォーク国際空港には、オンタイムで16:01に着いた。ハーヴィーが空港でレンタカーを借りる手続きをする間、マイクが二人分のスーツケースの見張りをする。週末旅行だから、小回りの効く小さめのスーツケースだ。空港を行き交う人々を眺める。スーツ姿の人間はあまりいなかった。確かに、今はヴァカンスの時期だ。そして、ハンプトンはわりとセレブなリゾート地。ラフではあるが、質の良い、リゾートファッションの人が多いように感じる。街に出たら、きっとその数はもっと増えるのだろう。
「疲れていないか?」
いつの間に、レンタカーのキーを持ったハーヴィーが横に立っていた。
「あ、ハーヴィー・・・ごめん。ちょっとぼーっとしてた。なんか・・・違和感だね。スーツの僕って。あ、ハーヴィーは別。仕立てがいいから」
「君だって、転職して、良いものを着るようになっただろう?」
「んー・・・でもさ、中身がね」
「何を言ってる。俺だって元はファームの郵便室で働いていたんだ。生まれだって、そんなに良くはない」
「ハーヴィーの実力かぁ・・・そうだね。そうだよね」
「ああ。だから、君も、自分に自信を持ったほうがいい。ほら、行くぞ」
「あ、うん!」
自分のスーツケースを引いて、ハーヴィーの後を追う。外に出てレンタカースペースに行く。さすが、高級リゾート地ハンプトンのレンタカー。高級車が多い。ハーヴィーは一体、どんな車を選んだのだろうか。ハーヴィーは、既に目的地がわかっているかのように、ずんずんと歩いて行った。それに一生懸命追いつくようにマイクも歩く。暑い太陽光。改めて、夏のヴァカンスの季節だということを思い知らされる、スーツのジャケットを脱ぎたいな・・・と思ってしまうほどの暑さ。ハンプトンの天気など調べてはいなかったが、滞在中は良い気候に恵まれそうだった。
「これだ」
ハーヴィーが一台の車の前に立つ。
「うわお!かっこいい!コンバーチブルだ!これ・・・ハーヴィーが持ってるのと同じで・・・色違い・・・だよね?」
「ああ、そうだ。ほら、ジャケットを脱いで、ネクタイも外すといい。俺もそうする」
言うや否や、ハーヴィーはさっさとジャケットとネクタイを車の後部に置く。マイクも慌てて、それに倣った。そして、助手席に乗り込む。「少し早めの夕食にしよう。昼は軽かったから、さすがに腹が減っただろう?」
「・・・なんか、気持ち的にお腹がいっぱい」
「そう言うな」
笑いながら、ハーヴィーは車を発進させた。風が気持ちい。まるで、天然のエアコンだった。
「シーフードでいいか?」
「え?あ、う、うん」
景色に気を取られていたマイクが、遅れて返事をする。ビルが立ちはだかるマンハッタンと違って、ここは青い空が広い。
「海が近いから、魚が美味い。ああ、でも君が肉の方がいいと言うなら・・・」
「大丈夫!シーフード大歓迎!・・・言われてみれば、ステーキとか、イタリアンとか、中華のデリが多いから、シーフード料理って珍しいかも。うん。僕、シーフードがいい」
「そうか。それは良かった。The SaltBoxという店を予約してる。カジュアル店だから、緊張しなくていいぞ」
「良かった。僕、ハーヴィーに高級なお店に連れていかれると、いまだに緊張するんだよね」
「今更か?その割にはいつも美味しそうに肉を頬張ってるぞ」
「だって。ステーキに罪はないもん。美味しいものは美味しく食べなくっちゃ。それと、めちゃ高級なお店に行った時はできるだけ周囲を見ないようにしてるんだ」
「なるほど。ステーキだけ見てるわけだ」
「あ、ハーヴィーのことも見てるよ、もちろん」
「優等生な答えだな。100点だ」
空港から程なくして、ハンプトンの繁華街に着く。ハーヴィーは優雅に車を停めると、エンジンを切った。
「へぇ・・・オープンな感じ。いいね。すごく、リゾートって感じ」
「どうだ?敷居は低いか?」
「うん。大丈夫。緊張しないで済みそう。休暇で緊張するなんて、もったいないもんね。ありがとうハーヴィー。僕に気を使ってくれて」
「君がリラックスできるのが一番だからな」
案内された席に落ち着く。すぐにビールが運ばれてきた。
「あ、珍しい。ワインとかじゃないんだね」
「海のリゾートだからな。ここはビールだろう」
「ますます、落ち着く。でも、このビールは絶対に高いヤツ」
「君の部屋の冷蔵庫にあった、安いビールが懐かしいか」
「昔はアレが限界だったの!ちゃんとしたお酒の味を覚えたのは、ハーヴィーと働くようになってからだよ。たまに、シドウェルと飲みに行くことあるけど・・・うん、ハーヴィーのセレクトとはちょっと違うかな。・・・ねえ、ハーヴィー、本当はすっごくいいとこのお坊ちゃんなんじゃないの?」
「残念ながら、庶民の出自だ。美味いものは、自分に箔を付けるために、実際に飲んで食べて覚えた。着るもののも、そうだな」
「形から入る人間っているけど、ハーヴィーはそういうのとは違うよね。だって、ちゃんと実力があるもん。それと、自信」
「そんな俺の自信を見事に打ち砕いてくれる人間もいるがな」
「え、嘘。もしかして、ハーヴィー、仕事で何かあった?もしかしてこれって、その傷心旅行?何か、僕に手伝えることある?もう・・・あなたのアソシエイトではないけど・・・」
「まったく、君はわかってないよな」
「え?僕、何か鈍かった?ハーヴィーに失礼なこと言っちゃった?」
ビールのグラスを持ちながら、マイクが固まる。自分がしたかもしれない失敗に思いを馳せているのだろう。ハーヴィーはそんなマイクを眺めながら、可笑しそうに溜め息を吐いた。
「そういうところだな」
「え?何?ちゃんと言ってくれないと、僕、自分のいけないところ、直せない!」
「俺の自信を唯一、打ち砕いてくれるのは君だ」
「ぼ、僕?」
「こんなにも俺は君を愛しているのに、君はそれを疑うだろう?」
「ちょっ・・・ここ・・・公共の場だよっ・・・周りに聞こえたら・・・」
マイクの声が小さくなる。
「俺は別に構わないが?君は、気になるんだな」
「う・・・だって・・・ハーヴィーが変な目で見られたら・・・やだもん。僕のことはどうだっていいんだよ。でも、ハーヴィーは立場ってものがあるんだし」
「ここはNYじゃない。ハンプトンだ。俺を知ってる人間なんか、いないだろう?まあ、NYでも俺は言うけどな」
「ううううううう・・・・」
恥ずかしさのあまり、マイクが項垂れる。
「ほら、料理が来たぞ。この店のおすすめだ。白身魚のグリル。魚の種類は日によって変わるらしい。今日は・・・タラだな。食べさせてやろうか?マイク?」
「ここ!公共の場!」
マイクは恥ずかしくて少し涙目になっている。少し苛め過ぎたか、とハーヴィーは反省し、そこからは大人しく、ナイフとフォークを扱い始めた。マイクもハーヴィーの表情をチラチラと伺いながら、ようやく自分もグリルを食べ始めたのだった。
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「帰りにスーパーに寄って行こう」
「え?ホテルに泊まるのに?」
夕食を終えて、コンバーチブルに乗り込みながら、ハーヴィーが言う。それにマイクが不思議そうに問い返したのだ。
「パンとパストラミとチーズ。それから・・・ああ、タルタルソースだったな」
「え、それって・・・」
「君がハンプトンで作ってれたサンドイッチ。あれは美味かった。あれなら、ホテルでも作れるだろう?」
「あ、あんなの・・・全然だし・・・。ホテルにルーム・サービスの方が絶対に美味しいいよ?」
「俺が食べたいと言ってるのに?その望みを叶えてくれないのか?」
悲しげに言うハーヴィーに、マイクはようやく答える。
「う・・・そんなことも・・・ないけど」
「じゃあ、決まりだ」
してやったりと、現金にも表情を明るくすると、ハーヴィーは車を走らせ始めた。すぐ近くのマーケット。観光地故に、さほど大きくはないが、食材は揃っている。以前、マイクが自転車で来たことのある店だ。マイクは手早く、サンドイッチの材料をハーヴィーが持つかごの中に入れていった。
「ああ、これも買っていこう」
ハーヴィーが手にしたのはワインのボトルだった。赤と白。
「ハーヴィー。それこそ、ホテルにあるんじゃないの?それ、安いチリワインだよ?」
「チリワインを甘く見るな。美味いぞ」
「それは知ってる。ハーヴィーと暮らす前は結構飲んでたもん。でも・・・いいの?ホテルにはきっと美味しいワインがもっと揃ってるよ?まあ、僕の作るサンドイッチに合わせるなら、チリワインが分相応なんだけど」
「マイク」
ハーヴィーが声のトーンを落とす。
「あ、ごめんなさい」
マイクも自分の失言に気付いてすぐに誤った。ハーヴィーは、自分自身を卑下する言葉を好まない。しかし、如何せん自分に自信がないので、思わず口を衝いて出てしまうのだ。無意識に。それで、以前よりは言わなくなったという自負もあるのだが。ここが、ハンプトンという高級リゾート地だということが関係しているのだろうか。正直、マイクは自分に自信などもてなかった。
買い物を済ませて、再び車に戻る。繁華街に立つリゾート感満載なホテルが視界に流れていく。
しかし。
「あれ?」
車は街中を抜けて、どんどん建物が少ない地域へと入っていった。
「ハーヴィー?何処・・・行くの?ホテルとか、過ぎちゃったけど」
夕日を背負いながら、サングラスをかけたハーヴィーは無言だった。けれども、口元が悪戯っ子のように笑っている。
「ねえってば・・・」
「着いてのお楽しみだ」
それから10分。ハーヴィーはようやく車を停めた。一軒のコテージの前。マイクは、あんぐりと口を開けたまま固まる。
「ここって・・・」
「君が気にったようだったからな。ここにした。ここは食材もないし、酒もない。買い物をして来て正解だったろう?」
「ハーヴィー・・・それなら、そうと言ってよ!」
マイクは助手席から降りる。ハーヴィーが「マイク」と声をかけ、コテージの鍵を渡した。
「先に行ってろ。荷物は俺が運ぶから」
「ありがとう、ハーヴィー!」
マイクは駆け足で玄関に行くと、鍵穴にキーを差し込んだ。ガチャリ・・・という音。ドアを開けると、懐かしい景色が広がった。
「うわぁ・・・」
高級ホテルよりはずっと、心が落ち着く。誰の目にも晒されない、場所。
「どうだ?」
「やっぱり、ここ、いいね。ちょっとインテリアが変わったっていうか、少なくなったような気がするけど、それもさっぱりしてていいね」
「ああ、それは前の持ち主が持って行ったからだな。ただし、大きい家具やキッチン用品はそのままだ」
「え?持ち主が変わったの?」
「ああ」
「やっぱり、ハーヴィーの知り合い?」
「もちろん。君もよく知ってる人間だ」
「えー・・・ファームの顧客?いたかなぁ・・・ハンプトンに関係があって、僕の知ってる人」
マイクは自分に頭の中の記憶を探る。一度でも仕事をしたり、書類を見たりしていれば、必ず引っかかる。しかし、それがない。
「おかしいなぁ・・・わかんないや。ねえ、誰?」
「ハーヴィー・スペクター」
「?・・・えっと、それは貴方でしょ?」
「だから。俺が、ここを買い取った。言っただろう?オーナーが手放したがっていると」
「それで・・・買ったの?このコテージ」
「ああ。君が、ものすごく気に入っていたようだったから。それにハンプトンなら、飛行機を使えば楽に来れるしな。君は優秀だし、今はそれなりの立場だから、休みも取りやすいだろう?」
後ろからハーヴィーがマイクの身体を抱き締める。
「ホテルよりも、君はこういう場所の方が落ち着くと思ったしな。それに、繁華街から遠くて静かだ。二人っきりでいられる。・・・誰の目にも触れない。最高だろう?」
「・・・ハーヴィー・・・貴方・・・僕を甘やかし過ぎ・・・」
「愛してるんだ。甘やかして、当然だろう?君の為だ」
ハーヴィーが鼻先をマイクの項に埋める。そして、キス。
「ん・・・ハーヴィー・・・今日は午前中は仕事してて・・・まだシャワーも浴びてなくて・・・」
「構わない・・・今の君がいい」
「だって・・・汗っぽいし・・・」
そんなマイクの言葉など無視をして、ハーヴィーの指がシャツのボタンをどんどん外していく。マイクも抵抗らしい抵抗はしなかった。マイクも、シャワーを浴びていない、ハーヴィーの匂いが好きだった。マイクはハーヴィーの腕の中で、くるりと向きを変えると、両手で愛する男の頬を包んだ。
「ありがとう・・・ハーヴィー・・・。好きだよ・・・。いつも僕のことを考えてくれて・・・。僕には本当にもったいないくらい・・・。僕は、何も返せないけど・・・でも、好きって言葉だけは言える。ううん・・・愛してる。ハーヴィー」
「それで十分だ、マイク」
ハーヴィーがマイクの蜂蜜色の髪を撫でる。窓から差し込む夕陽のせいか、いつもよりも濃い、ねっとりとした蜂蜜のようだった。そんな蜂蜜色の髪が動く。珍しく、マイクの方がハーヴィーに寄り添い、唇を合わせてくる。持て余してしまった感情を押し付けるようなキス。そんなキスを受けながら、ハーヴィーはマイクのシャツを肩から落とした。
「ここで・・・する?」
唇の隙間から、マイクが問う。
「いいのか?まだ、夜じゃないぞ?」
「いいよ。僕・・・欲しくなっちゃった・・・」
そう言って、マイクはハーヴィーから離れると、スラックスと下着、それから靴も靴下も脱いで、ソファに座った。そして、ハーヴィーに両腕を伸ばす。笑顔を向けて。ハーヴィーは遠慮することなく、マイクの身体に覆いかぶさった。再びキスをしながら、互いの身体を弄る。マイクはハーヴィーのシャツのボタンを外して、鍛えられている逞しい身体に手を這わせる。そして、ベルトに手をかける。ハーヴィーはクスリと笑いながら、マイクの中心を握り込んでやった。
「あ・・・んっ・・・ずるい・・・ハーヴィー・・・まだ、脱いでない」
「いいから・・・楽しませろ」
「・・・楽しいの?」
「ああ。こんなにも、素直で積極的な君は楽しい」
「だって・・・ここ・・・好きだし・・・静かで・・・ハーヴィーと二人っきりで・・・こんなに嬉しいこと・・・ないもん・・・」
「俺もだ」
言いながら、マイクを刺激する。
「んっ・・・あんっ・・・ハーヴィー・・・ハーヴィーも・・・一緒・・・それが・・・いい・・・」
「仕方がないな」
ハーヴィーはマイクから少し離れて、素早く全裸になる。そして、もう一度、マイクの全身を抱き込んだ。
「ハーヴィー・・・あったかいね・・・」
「君は、熱いな」
「暑苦しい?」
「そうじゃない。こんなに体が熱いのは、相手が俺だから・・・という解釈でいいか?」
「それ、すごい、意地悪な発言だよ・・・僕が、ハーヴィー以外で熱くなるわけない・・・」
「そうか。なら、しっかりと掴まってろ」
ハーヴィーはマイクの両足を大きく割り広げると、後ろの窄みに指をあてがった。そこはすでにヒクついていて、いつでも受け入れようとしている。つぷんっと差し込み、浅く抽送を始める。
「ふ・・・あ・・・だ、大丈夫なのに・・・」
「ダメだ。ちゃんと解さないと。俺は君を傷つけたくないからな」
「僕は、ハーヴィーが早く欲しいのに」
「休みを取るために、仕事を頑張って、ここのところ遅かったろう?」
つまり、二人はしばらくご無沙汰だった。だから、ハーヴィーがマイクの身体を労わるのも無理はなかった。けれども、マイクにはそれがもどかしい。
「本当に・・・大丈夫だよ・・・だって、僕、とっても幸せだから。そういう時って、ちゃんと身体は適応するんだよ?いつも貴方を受け止めてる僕が言うんだから・・・ねえ・・・」
マイクの脚が上がり、ハーヴィーの腰に絡む。そこまでされては、ハーヴィーも耐えきれない。
「わかった・・・しかし、ゆっくりな」
「うん・・・ありがと・・・大好きだよ・・・」
ハーヴィーは指を抜き、体勢を整えると、自分の切っ先をマイクにあてがった。そして、ゆっくりを差し入れて行く。マイクは自分で呼吸を調整し、入り込んでくる質量を、受け入れる。
「んっ・・・好き・・・ハーヴィーの・・・熱い・・・」
マイクはぎゅうっと、ハーヴィーを抱き締める腕に力を込める。
夕陽が、揺れるハーヴィーの背中と、蜂蜜色のマイクの髪を照らしていた。