月別アーカイブ: 2019年9月

処女淫魔が落ちていたので・・・ 03

「あっ・・・あっ・・・あんっ・・・いっ・・・いいよぅ・・・」

出勤を2時間遅らせて、ベッドに戻った二人はすぐに衣服を脱いだ。といっても、断然リードの早い。何せ、彼はホッチのシャツ1枚でいたのだから。

先にベッドで仰向けになってホッチを待ちながら、その瞳はスーツを脱いでいく彼に釘付けだった。昨夜は淫魔でありながら、人間のホッチに翻弄されてばかりのリードだったが、いまは少しだけ気持ちに余裕がある。スーツに隠されていた身体はがっしりとしていて、とても逞しかった。その姿を見て、リードの下腹部が、きゅんっとなる。好きな身体付きだった。全裸になったホッチがリードに覆いかぶさると、金髪の淫魔は両手と両脚を絡めて、その暖かさを享受した。

けれども。

「今度は、僕にさせて・・・ね?」

淫魔特有の蠱惑的な笑み(これは魔界の講義で練習した)を浮かべて、身体を入れ替えると、リードはホッチに跨るようにして腰を落ち着けた。

「慣らさなくていいのか?」

「ふふっ、やだな。僕、淫魔だよ?いつでも受け入れられる身体なの」

そう言って、腰を上げると、すでにそそり勃っているホッチのペニスに細い指を添えて、自分の後孔に当てがった。ズブズブと難なく受け入れることができるのは、淫魔特有の身体のおかげだ。昨夜も感じたその柔らかい内壁の熱さに、ホッチは口角を上げる。お手並み拝見といこうか・・・といったところである。そして、冒頭のリードの喘ぎ声に繋がるのだ。

「んっ・・・すごいの・・・おっきくて・・・ふとくて・・・すぐに・・・おくに・・・きちゃうの・・・」

上下に腰を動かしながらも、そんな言葉を甘ったるい声で発する淫魔。さすが、といおうか、天然なのか。煽り上手なリードの腰をホッチはグッと掴んだ。

「リードの奥は、もっと深そうだ。手伝ってやろう」

ホッチがグイッと、下からリードを突き上げる。

「ひゃんっ!!!ひゃ・・・あ・・・あぐっ・・・んんんんぅ・・・・」

ホッチの腹についていた指が離れたが、腰をしっかりと掴まれているので倒れることはない。それよりも、強烈で深い突き上げに、思わず後ろで締め付けてしまう。

「ああ・・・いいな。さすが、淫魔だ。締め付けるのが上手だな、リード」

可愛らしいリードのペニスも勃っていて、先端からは蜜が溢れている。それを感じている証拠と捉え、さらにホッチはしたからリードの身体を揺さぶって突き上げた。

「あっ・・・ちょ・・・ちょうだい?・・・ホッチの白いの・・・僕の奥にいっぱいかけて・・・美味しいの・・・昨日もすっごく美味しかったから・・・ああんっ・・・それと・・・キスも・・・」

「欲張りな淫魔だな。しかし、悪くない。お望み通りにしてやろう」

ホッチはリードの腰を掴んだまま、そして自分の楔を打ち込んだまま、軽々ち体勢を入れ替えた。白い両脚を抱え上げ、折り畳み、プレスするように体重をかける。そうすると、顔と顔が近づいた。目の前に、濡れたリードの赤い唇がある。彼の望み通りに、唇を貪る。口の中に唾液を流し込むようなキスをする。

深い交わりと、深いキス。

その隙間で、リードが息も絶え絶えに呟く。

「・・・ホッチ・・・本当に・・・美味しい・・・苺ジャムより好き・・・」

********************

BAUの敏腕プロファイラーは、その言葉に心臓を撃ち抜かれ、結局のところ、4時間遅れて職場に赴くことになったのだった。

END

処女淫魔が落ちていたので・・・ 02

アーロン・ホッチナーは、昨夜、淫魔を拾った。それも処女の。「魔界を首席で卒業した」と言っていたが、別に普通のセックスだったと思う。もっと、淫魔・・・リードが物凄いことをやらかしてくれるのかと思ったが、いたって普通のセックスだった。とはいえ、ホッチに不満はない。ホッチは路地裏に落ちていた淫魔に、見事に堕ちたのだから。

「ん・・・」

もぞもぞとリードが動きながら、ホッチに体を摺り寄せてくる。ホッチ的には、そろそろ起きる時刻だ。BAUのリーダーたるもの、遅刻は許されない。しかし、この可愛らしい寝顔をまだみていたい・・・という思いも事実で。

ホッチは、右手の指を金髪に差し込むと、その頭を支えるようにして、口付けた。ほんの少し開いていた唇に舌を滑り込ませる。そういえば、昨夜は満足なキスをしていなかった。

「んん・・・」

ホッチが自分の舌をリードのそれに絡めて吸うと、目を瞑ったままではあったが、淫魔は反応した。クチュクチュとリードの舌もホッチの舌を味わうように動いている。

覚醒しているのか、いないのか。いや、起き始めてはいるのだろう。リードの指が、ホッチの腕にかかる。大きなリップ音を立てて、しかし名残惜しそうにホッチが離れると、リードの眼はしっかりと開いていた。

「おはよう、リード」

「おはよう、ホッチ。美味しかった」

「美味しい?」

「うん。これ、朝御飯?」

「どういう意味だ?」

「ああ・・・そっか・・・。えっとね、唾液もご飯になるの、僕たちの場合は」

「なるほど。そういうことか」

淫魔にとって、体液は全て栄養になるということなのだろう。

「朝食は別に用意しよう。人間界のものを」

「うわぁ。僕、人間のご飯も好き。昨日のご飯も美味しかった。ゴミ箱のご飯と違うよね。あったかくて、いい匂いで」

「・・・二度と、ゴミ箱のものは食べないように」

「え・・・でも・・・」

「でも?」

「だって・・・その・・・」

言い淀むリードを見つめるが、どうやらリードは睨まれると感じたらしい。しょんぼりと項垂れてしまった。

「まあ、いい。あまり時間はないが、朝食を取りながら、話をするとしよう。シャワーを浴びてくるといい。もうやり方はわかるな?」

「うん!泡だらけにするんだよね!」

少々違うが、それは言わないでおくことにする。リードがベッドを降りてバスルームに走って行くのを眺めながら、自分は朝食の準備をするべく立ち上がった。

********************

「これ、なあに?」

「ベーコンエッグとサラダ。それにコーンスープとトースト」

「この赤いの、甘い匂いがする」

「苺ジャム。パンにつけて食べる」

ホッチがちぎったトーストに苺ジャムをつけて渡すと、リードはパクリと口に入れて咀嚼する。そうして瞳を輝かせる。

「美味しい!!!!僕、こういう甘いの好き!!!!」

どうやら、この淫魔は甘党らしい。そうしたら・・・。と、ホッチはコーヒーに目をやった。おそらく、ブラック・コーヒーは好まないだろうと。

ホッチはリードの分のマグカップを持ち、立ち上がった。

「どうするの?その黒いの」

「これはコーヒー。君は甘いのが好きらしいから、砂糖とミルクを入れる」

キッチンで、かなり甘いミルク・コーヒーに仕上げると、ホッチはマグカップをリードに渡した。

「熱いから、気をつけろ」

「うん。・・・ん?んん?これ、ちょっとほろ苦いけど・・・甘い!!!美味しい!!!!」

「それは良かった。緑色のも食べるように」

「はーい」

リードがサラダを口に入れると、動きが止まった。

「どうした」

「甘くない」

「当たり前だ。それはサラダ。野菜だからな。しかし、食べるんだ」

「う・・・」

「赤い野菜は甘いぞ。トマトだ」

リードはようやくレタスを嚥下すると、トマトを口に入れた。今度は表情が明るくなる」

「ジャムとは違う甘さだけど、これは美味しい野菜だね!甘いね!」

ホッチは楽しくなる。殺風景だった一人きりの食卓が、リードがいると明るくなる。その百面相とともに。

「俺はこれから仕事だから、もうすぐ家を出る」

「うん・・・わかった。じゃあ、僕もどっかに行くね」

「どうして?」

「どうしてって・・・」

「ここにいればいい」

「いいの?」

「’というか、俺は君をここにいさせなければならない。その義務がある」

「義務?・・・でも、僕、淫魔だよ?人間じゃないよ?」

「確かに君は淫魔だが、バージンだったろう?」

「うん・・・セックスをしたのは昨日が初めて・・・。あ、でも!僕、主席卒業だし!」

「それはわかった。とにかく、人間界では、バージンを貰ったら、一生大事にして、生涯の伴侶として、傍に置いておかなくてはならないというルールが存在する」

大嘘をホッチは真剣に語った。普段は無口なホッチだが、さすがBAUリーダー。ハッタリをかますことには長けている。

「そ・・・そうなんだ」

「魔界ではそういうことは習わなかったか?」

「・・・うん。テキストには書いていなかった・・・」

「つまり、俺は君のバージンを貰った。だから、君は俺の花嫁ということだ。俺は君を傍に置いておく義務がある。だから、君はもう、ゴミ箱のものは食べない、ということだ」

「あー・・・そこにつながるんだー」

「俺は君の夫として、君の衣食住を保証する義務があるんだ。まあ、服に関しては、とりあえず、俺のものを着ることにして、今度の休みにでも一緒に買いに行こう。住処はここ。まあ、もう少し広いところに引っ越してもいいな。それから、食べることに関しては、こうやっておやつを与えるし、もちろん、君の主食も提供する。それが夫の務めだからな。ただし、絶対的な条件が1つある」

ホッチは真剣な表情で人差し指を1本、立てた。

「な・・・何?」

ここまでの話でだいぶ圧倒されているリードも、真剣に聞き返した。

「花嫁は、夫以外の人間と食事をしていけない、ということだ。おやつは許すが、主食は絶対にダメだ」

「つまり・・・その・・・セックスは、ホッチとしかしちゃいけないってこと?」

「そういうことだな。人間界の言葉で言えば、貞操を守る、ということだ」

「貞操を守る・・・」

リードは頭の中のノートにメモをした。魔界で勉強したことのない情報が盛り沢山だ。人間界で暮らすのにも、色々とあるらしい。もっと先輩淫魔に話を聞いておけば良かった。人付き合いが苦手なリードは、もっぱら講義と書物だけで、勉強をしていたのだ。けれども、どうやら、この人と一緒にいれば、食べることには困らない、ということは理解できた。

「ということで、俺は仕事に行く。君は?」

「この部屋にいる」

「いい子だ。暇だったら、書棚の本でも読むといい。冷蔵庫の中の物も勝手に食べていい。ただし、外には出るな」

「うん。わかった!」

話は終わり、というようにホッチは立ち上がった。時計を見れば、仕事に行くちょうど良い、いつもの時刻だった。

「あ、待って・・・」

ドアに向かうホッチの背中をリードが追いかける。

「どうした?」

「ありがとう、ホッチ!僕・・・野良淫魔にならなくてもいいんだね。なんだか、嬉しいな」

リードの嬉しそうな顔が、ホッチの表情も綻ばせた。

「リード。もう1つ、人間界のルールを教えてやろう」

「うん!僕、いっぱい覚えるから!」

「夫が出かけるときは、『行ってらっしゃい』と言って、キスをするんだ」

「わかった!えっと・・・行ってらっしゃい!」

リードはちょっとだけ踵を上げると、両手でホッチの頬を軽く包んでキスをした。軽いキスと深いキスと、どっちがいいのかな?・・・と考えていたら、ぐっと腰を引き寄せられる。そして、暖かい舌がリードの口の中に入ってきた。どうやら、深いキスが正解らしい。だから、リードも舌を絡めた。この人の体液は美味しい。温かくて、甘い。昨夜は精飲できなかったから、今度は口で飲んでみたいな、と思う。夫とか、花嫁とか、よくわからないけれども、たった一度のセックスでお別れしたくなかったから、正直、嬉しい。食事をしたい・・・というよりも、このアーロン・ホッチナーという人とセックスしたい。そういうことだ。

ようやく唇を離すと、ホッチが溜息をついた。

「まずいな。俺の方が歩いが、朝のキスは軽いやつじゃないと、毎日遅刻だ」

そう言って、ホッチはスーツの内ポケットから携帯端末を取り出した。

「・・・ああ、ロッシ。俺です。すみません。2時間ほど遅れます。いえ、体調は大丈夫です。ちょっとした私用です。じゃあ」

携帯端末を切ると、ホッチは片手でリードの腰を掴んだまま言った。

「さあ、ベッドに戻るぞ。2時間しかないがな。君の食事タイムだ」

ホッチはリードを横抱きにすると、ズカズカと部屋を横切って、ベッドの上に可愛らしい金髪の淫魔を落としたのだった。

END

処女淫魔が落ちていたので・・・ 01

いつものように、遅い時間まで書類仕事をし、ようやくアーロン・ホッチナーは帰途についた。陰惨な事件は毎日のように起こるので、書類が減ることはないし、ましてや無くなることもない。街中を歩きながら、今夜の夕食はどうしたものか・・・と考える。が、あまり食に執着がある方でもないので、そこは適当だ。中華のテイクアウトでもいい。少々薄汚れたビルとビルの間の暗がり。そこに無意識に目をやりつつも、ホッチは足を止めることなく歩き続けた。が、数歩ほどの後、立ち止まった。一瞬。ほんの一瞬だが、地べたに投げたされた足のようなものを捉えたような気がしたからだ。無視するか、それとも・・・。FBIの敏腕プロファイラーは、事件性の有無を考えた。そうしたら、答えは1つだった。後悔するよりも、確認したほ方がいい。それが無駄であったのなら、それは街の平和の証拠だからだ。そう考えて、ホッチは踵を返すと、数歩、道を戻って路地に入ったのだった。

********************

大きなゴミ箱とゴミ箱の間にそれは落ちていた。少々長めのくすんだ金髪に隠れた顔。しかし、それは青年のものとは判断できた。着ているものはあちこち破れていて、汚れている。かろうじて靴は履いていたが、その靴もボロボロだった。ズボンと靴の間から見える靴下は、なぜか左右で柄が違った。一瞬、もう手遅れで死んでいるのかとも思ったが、首筋に指を当てると、きちんと脈打っていた。

「おい。大丈夫か」

ホッチは青年の頬を軽く手の平で叩く。

「ん・・・・・・」

酔っ払いかとも思ったが、酒臭くはなかった。だったら、ジャンキーか?と警戒する。

ゆっくりと開いた瞼から見える瞳は、淀んではいなかった。それよりも、澄んでいる、と言った方が正しい。ジャンキーではなさそうだった。

「大丈夫か?」

ホッチは再度訪ねた。

「・・・・・・お腹・・・空いた・・・」

そう言うと、金髪の青年は溜息をついて、再び瞼を閉じたのだった。

********************

「うわぁ!美味しい!これも・・・これも!!!」

「美味しいって・・・中華のデリだぞ」

「でも、すっごく美味しい!初めて食べた!!!!」

ダイニングテーブルで中華デリを物凄い勢いで食べている青年を見ながら、ホッチはグラスのウィスキーを一口飲んだ。

あの路地裏で、再び瞼を閉じようとした青年を無理矢理立たせて、表通りまで引きずった。空腹で体に力が入らないらしく、フラフラしてはいたが、それでも何とか、ホッチが止めたタクシーには乗り込めた。運転手は青年の身なりを見て、一瞬嫌な表情を見せたが、ホッチがチップを前払いすると、文句を言わずに車を発進させてくれた。途中、中華のデリを買って、そして現在、ホッチのアパートである。まずはバスルームに突っ込みたかったが、フラフラしている青年が可哀想になり、とりあえず、手だけはしっかりと洗わせて、食卓につかせたのだ。テーブルに並べたられたデリを見ると、青年の意識は覚醒し、橋を握って・・・そう、まさに握って、デリを口の中に入れていったのだった。

「あ・・・ごめんなさい。僕・・・もしかして、貴方の分も食べちゃってる?」

青年は橋を握ったまま、動きを止めると、ホッチに問うた。けれども、ホッチは首を横に振り、青年に食べることを促したのだった。それからは、チラチラとホッチの表情を伺いながら、デリを食べていた青年だったが、ようやくお腹が満足したのか、安心した吐息を漏らすと、ようやく箸を置いたのだった。

「満足したか?」

「うん!今夜のゴミ箱は不作だったんだ!あんまり食べ物がなくって・・・」

「ちょっと待て。君は、ゴミを食べて生活しているのか?」

「・・・まあ・・・そう・・・かな?」

「働いていないのか?」

「んー・・・そういう習慣がない・・・かな?」

「お金は?」

「持ってないよ?」

稼いでいないのなら、そうだろう。しかし、かといって犯罪に手を染めているわけでもなさそうだ。ということは、ホームレスなのか?この青年は。

「何処に住んでる?」

「いろんな所」

どうやら、定住しているホームレスではないらしい。

「今夜は・・・何処で寝るんだ?」

「・・・んー・・・わかんない」

ホッチは小さく溜息をついた。これは放ってはおけない。だから、提案をする。

「今夜は、この部屋に泊まるといい。ただし、その前に風呂に入る、という条件がつくが」

「風呂?・・・風呂って、何?」

「・・・・・・・・・・・・」

何なんだ。この、風呂の存在を知らないというのは。追求したかったが、お腹がいっぱいになった青年の目が、とろんとしてきたのを見て、その課題は後にとっておくことにする。まずは、この青年を風呂に放り込まなければ。

ホッチは、青年を立たせると、手を引いて、バスルームへと連れて行く。

「これが、お風呂?」

初めて見るかのように、キョロキョロとする。ホッチはバスタブに湯をためながら、青年い言った。

「服を脱いで」

「ん?うん」

恥ずかしがる風でもなく、青年はポイポイと衣服を脱いでいった。どう考えても、捨ててもいいような衣服を。せっかく体を綺麗にしても、それをまた着たら意味はない。とりあえず、バスローブを着せて、その後は自分のシャツでも貸せばいいだろう。いや・・・くれてやる、と言った方が正しいかもしれない。

「さあ、バスタブに入れ」

ホッチが指さすと、青年は素直にバスタブに入った。

「わお!あったかい!」

そう言って、青年は立ったままだ。次に何をすべきかはわからないらしい。ホッチは腕まくりをして、今度はバスタブの中で座るように命じた。そして、シャンプーを泡立てると、それを青年の頭に乗せ、指を使って洗ってやる。

「ねえ、これって、何?どうして頭をゴシゴシするの?」

「これはシャンプーだ。髪を洗っているんだ」

シャンプーの泡のせいで、顔の汚れも落ちる。想像していたのと違う、色白な肌が見えた。しかし、それも熱い湯のせいで、薄く桃色がかる。石鹸で顔を拭うようにして洗う。今度はスポンジを泡でいっぱいにして、それを青年に渡した。が、やはり、首を傾げられてしまう。「どうするの?これ?」という表情だ。体を洗う、ということがわからないらしい。ホッチはスポンジを取り上げると、背中から、青年の体を洗い始める。

「んー・・・何だか、気持ちいいね、お風呂って!」

「そうか、それは良かった」

不思議で、可笑しいことではあったが、ホッチはこの状況を案外、楽しんでいた。薄汚い青年の体が、どんどん泡で美しくなっていく。薄桃色に染まった陶器のような皮膚。風呂の熱が冷めたら、きっとそれは白磁に変わるに違いない。

全身の汚れを泡と一緒にシャワーで洗い流すと、ホッチは青年にバスローブを纏わせた。そして、そこで初めて、思い出したように名前を聞いたのだった。

「僕?リード!スペンサー・リード!」

美しくなった金髪の青年は、にっこりと笑って答えたのだった。

「貴方は?」

「アローン・ホッチナー」

ホッチも少しだけ笑って答えた。

********************

別に青年・・・リードをソファで寝かせても良かったのだが、どうせダブル・ベッドであったので、ホッチはリードをベッドに促した。ホッチのシャツを借りたリードは、嬉しそうにそれに従った。一人暮らしとはいえ、仕事で疲れた体には、質の良い睡眠が必要と感じたので、ホッチは部屋にダブル・ベッドを置いていたのだった。

「久しぶりのベッドだぁ」

風呂は知らなくても、ベッドは知っているのか、と思わずツッコミそうになったが、それを堪えてホッチはリードを先にベッドに寝かせる。リードはちゃんとホッチのスペースを開けて毛布に潜り込んだ。そういうこともわかって入るらしい。

ホッチもベッドに入り、ベッドサイドの灯りだけにする。寝る前の習慣で、本を数ページだけ読むのだ。

「それ・・・面白いの?」

「犯罪心理学の本だ。君・・・リードは、本を読んだことは?」

「あるよ!いっぱい読んで勉強した!」

「しかし、風呂は知らないんだな」

「だって、僕が読んだ本には書いてなかったもん」

一体、何処で、どのような本を読んだのか気になったが、まずは寝かせてやろうと思い、ホッチはリードの頭をぽんぽんと叩くと、本に目を落とした。

しばらくして・・・。

きゅう・・・・。

お腹の鳴る音がした。自分ではない。ホッチは隣に横たわるリードに目をやった。彼は眠ってはおらず、じっと自分を見ていたらしかった。

「あれだけ食べて、またお腹が空いたのか?」

「ん・・・だって・・・主食じゃなかいから・・・」

「まあ、確かに中華のデリだったしな。・・・何か・・・作るか?」

しかし、リードは首を横に振った。

「人間の食べ物は、おやつみたいなものだから、どれだけ食べても、すぐにお腹が空いちゃうの」

「・・・・・・は?」

「あのね」

リードは毛布から出て、ベッドの上に正座をして姿勢を正した。それを見て思わず、ホッチも背筋を伸ばす。

「何だ?」

「僕・・・人間じゃないないの。えっと・・・その・・・淫魔・・・なの・・・」

最後の方はかなり声が小さくなっていたが、ホッチの耳にはしっかりと聞こえた。「淫魔」というワードが。

「・・・説明しろ」

「あの・・・僕、魔界からきたスペンサー・リードっていう名前の淫魔なの。数日前に、もうお前は人間界で生きていけって言われて、魔界卒業なの。・・・本当はもっと早くにご主人様を見つけて生活をしなくちゃいけなかったんだけど、僕、そういうの人を見つけるのが苦手で・・・。あ、でも、自分で言うのも何だけど、優秀ではあるんだよ?今期の淫魔の中ではペーパーテスト、1位だから!!僕、勉強は得意なんだ!」

「勉強って、一体どういう勉強なんだ?」

「え?・・・まあ、その・・・えっと・・・その・・・ベッドの中ではどうすべきかっていう・・・」

「つまり、セックスってことだな」

「・・・そう」

「それで?」

ホッチは読みかけの本をベッドサイドに置いて言った。

「ベッドの中では、どうすべきなんだ?」

自分の白いシャツを着たリードにのしかかり、ホッチは重たい声で尋ねたのだった。

********************

「やっ・・・あっ・・・あんっ・・・やぁ・・・ち、違うのぉ・・・」

「何が違うんだ?」

ホッチがリードの可愛らしいペニスをしゃぶりながら、その口の隙間で尋ねる。

「んっ・・・ぼっ・・・僕が・・・ホッチのを、お口でするのぉ・・・」

「ああ・・・それは、後でお願いするとしよう」

「ふえ・・・やんっ・・・い・・・イっちゃう・・・出ちゃうよぅ・・・」

リードは両脚の太腿をがっしりと掴まれている。もちろん、体を割り開かれて。リードは指先でシーツを握りしめて、頭を左右に振りながら、絶頂を我慢している。この行為は知っていた。魔界で勉強した。けれども、自分は淫魔だから、「される」より「する」方の勉強の方が多かった。何故なら、口での精飲は淫魔の食事になるからだ。

「あっ・・・だめっ・・・も・・・や・・・むり・・・イっちゃうっ・・・」

「いいぞ、いけ」

くぐもった声で言うと、ホッチは口をすぼめて、十分自分の口に収まるペニスを吸い上げた。

「ひっ・・・あああああああ・・・・あ・・・ああんっ・・・んん~・・・」

一瞬、腰を跳ね上げる。そして落ちるその腰をホッチの逞しい腕が捉えて、そっとベッドに降ろした。

「淫魔なら、こんなこと、初めてでもないだろうに」

リードの金髪を梳きながら、ホッチが言った。その言葉にリードは唇を噛んで、横を向いた。

「どうした?リード」

「・・・本当は僕がするのに・・・。でも・・・こんなに気持ちいいなんて・・・知らなかった・・・僕」

「されるのは初めてか」

「・・・するのも初めてだから・・・下手だったらごめんなさい。・・・あ、でも僕、主席で卒業はしてるからね!」

「初めて?」

「うん」

「あー・・・・魔界では・・・その・・・実地訓練とかなかったのか?」

「動画は見た」

「つまり・・・君は・・・バージンなのか?」

「人間界の言葉で言うなら・・・まあ・・・そう・・・かな?」

その言葉に、ホッチが心の中で舌なめずりをする。

処女の淫魔。

こんな体験をすることができるのはそうないだろう。

リードの体はホッチにとって好ましかった。堕ちた・・・と言っても過言ではない。

「リードの食事は、こっちの口でもいいのか?」

するりと、後孔を撫でる。

「あんっ・・・」

突然の刺激に一瞬、体を浮かせるが、リードはすぐにコクリと頷いた。要は、人間の精を体に取り込めばいいのだ。

「それなら・・・」

ホッチはリードの両足を抱え上げると、そこを後孔を露わにする。そしてそこへ顔を寄せ、舌で舐め、解し始めた。

「あ・・・ん・・・く・・・くれるの?ホッチ・・・僕に・・・くれるの?」

「好きなだけ飲むといい。こっちで口でな」

リードの両足を割り開いたまま、体重をかけると、ホッチは己の切っ先をリードの薄桃色の孔へと押し込んだ。そこはほんの少しだけホッチを拒んだが、淫魔の特性なのか、すぐにゆるりとホッチを受け入れた。

「辛くないか?」

「大丈夫・・・これって、僕の食事だから」

にこりと微笑むと、リードは細い両手をホッチの首に絡めた。そして、

「動いて?僕、初めてだけど・・・今、すっごく、貴方のことが欲しい」

「初めてなら、少しは優しくしないとな」

言いながら、ホッチは動き始めた。口では言ったものの、優しくできる自信は全くなかったのだが。

「ああ・・・すご・・・ホッチ・・・奥・・・来てる・・・んぅ・・・当たってるの・・・」

リードがホッチにしがみつきながら、その耳元で言う。その言葉が一層ホッチを煽る。リードの柔らかい内壁が、自分を絡め取るように、纏わり付く。それを押し開くように、腰を進め、穿つ。何度も叩きつける。その度に、自分がリードの奥深くに侵入しているのがわかる。

「きっ・・・気持ち・・・いいよぅ・・・こんなに・・・凄いって・・・わからなかった・・・」

「そうだな。座学だけじゃ、わからないよな。それで?・・・美味いか?」

きっと先走りの液体は、リードの奥に染み込んでいるはずだ。

「うっ・・・うん・・・美味しい・・・ホッチの・・・美味しいの・・・もっと、もっと美味しいの・・・ちょうだい?」

「もちろんだ」

明日も仕事ではあるが、今はこの体を離すつもりはない。ほんの偶然で拾った淫魔ではあるが、もしかすると、これは神の采配なのかもしれない。体の下で可愛らしく揺れて悶えるリードを見ながら、ホッチはその細い指に自分の指を絡めた。今夜だけではなく、明日も、明後日も、この体を抱いていたいと思いながら。

END