それはちょっとした出来心で。リードの痴態を俯瞰してみたかった。だから、寝室のベッドの対面にあるチェストの上にビデオカメラを仕掛けた。ただ、それではベッドに沈むリードの表情が映らないので、後ろから抱き込むようにリードを膝の上に座らせて、喘ぎ、揺れる青年の姿がビデオに収まるように抱いた。下から突き上げ、前を扱いてやり、絶頂を極めさせ、その先端から勢いよくい吐き出された白濁で、腹や胸、顎の辺りまで汚してしまった姿も、しっかりとビデオは捉えたはずだ。この痴態を記録することに、ホッチはぞくりとした。
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夜に空調のメンテナンスが入るということで、BAUのメンバーたちは早々にオフィスを追い出された。ホッチは持ち帰って差し支えのない資料を鞄に入れて帰宅することにした。リードはどうするのかと思って下を見たら、どうやらJJたちと出かける気配だった。それを見送ってから、ホッチもオフィスを後にしたのだった。
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ジャックは、友達の家でゲーム・パーティをするというのでお泊まりだった。だから、今夜のホッチは家で一人で過ごすことになる。夕食は冷蔵庫にあるもので、簡単に済ませる。それから、グラスにウィスキーを注ぐと、それをローテーブルに置き、ラップトップと持ち帰った書類を準備した。さほど急ぐ仕事でもなかったが、時間があるときに片付けておけば、事件が起こったときに、そちらに気持ちを集中させることができる。ホッチは1時間ほど、書類を睨みながらキーボードを叩いた。・・・が。ふっと、気分が他に削がれる。ホッチは書類の画面を閉じると、デスクトップにある1つのフォルダを開いた。動画ばかりが収められたフォルダだ。いくつかある動画ファイルの中から、一番新しい物をクリックした。すぐにリードの裸体が浮かび上がる。そして甲高い喘ぎ声も。これは元データを編集し、感じまくっている最高のリードだけにした映像だ。この時は後ろからリードを責めたてていたから、表情は見えなかった。けれども、録画した映像で、その時の全身で感じているリードを鑑賞することができる。細い体躯。女性ほどではないが、軽くくびれたウエスト。もう少し食べさせて肉をつけたいところだが、一人暮らしのリードにそれを強いることは無理だろう。だから、せめて一緒に食事ができる時は栄養のあるものをたくさん食べさせる。すぐに「お腹がいっぱいで、もう入らないよ」と言うのだが、きっと胃が小さくなってしまっているのだろう。ホッチは画像の中の身体からリードの顔へと視線を移動した。ホッチによる下からの突き上げと手淫で、声にならない音と涎を口から零している。「綺麗だな・・・」と純粋に思う。そう思いながら、ホッチはそっと自分の手を股間に移動させた。そこは既に、硬く張り詰めていた。「いい年をして」と自嘲気味に笑いながらも、仕方がない。身体は正直だ。ホッチはスラックスの前を寛げると、下着の中に右手を滑り込ませた。ラップトップのモニターの中では、まだリードが身体を揺らしながら喘いでいる。その姿を見ながら、ホッチは自分で自分を慰め始めた。
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「やっ・・・い、いく・・・イっちゃう・・・アーロン・・・イっちゃう・・・ああああああー!」
画面の中のリードが、自分の腹に白濁を撒き散らすのを見ながら、ホッチも唇を噛んで、「くっ・・・」と嗚咽する。しかし、リードは頭を左右に振りながら、泣くようにして声を漏らしていた。あの時は、リードが達しても、責めることをホッチがやめなかったからだ。「離して、休ませて」と言っても、ホッチはそれを無視した。しつこいほどに、指先でリードの先端を擦り上げながら、身体を揺さぶってやったのを覚えている。涙と涎で、グズグズになっているリードの顔は扇情的でいい。煽られる。そう、今ホッチは、モニターの中のリードに煽られているのだ。ホッチは一呼吸つくと、再度、硬くなっている自分を握りしめた。と、その時。
「ホッチ!!!!!!!!!!!何やってんの!!!!!!!!!」
可憐だけれども、厳しい口調の声が背後から掛けられた。
「えっ・・・」
ホッチは慌てて、振り向く。そこに鞄のストラップを両手で握りしめて立っていたのは、リードだった。唇をぎゅっと噛み締めて、眉間に皺が寄っている。が、瞳は今にも泣き出しそうだった。
「・・・リード・・・お前・・・」
「ホッチの浮気者!!!!!!!」
「う、浮気って・・・ちょっと待て」
「だって、そうでしょ!!!僕以外の人で気持ち良くなってるなんて!!!!!」
「いや、これはお前だろう」
ホッチはラップトップを持ち上げると、モニターがリードに見えるようにする。
「違うもん!!僕じゃないもん!!僕かもしれないけど、それは過去の僕であって、今の僕じゃないし、それにリアルじゃないでしょ!!!!!」
そう怒鳴ると、リードはつかつかとホッチに近寄り、乱暴にラップトップを取り上げる。
「こんなもの・・・捨てるんだから!!!!」
「待て!!!仕事の資料も入ってるんだ!!!やめろ!!!わかった!!!俺が悪かった!!!だから、ラップトップをこっちへ渡してくれ!!!」
「・・・本当に悪いと思ってる?」
「思ってる」
「何が?何処が?貴方の反省点は?説明して」
「う・・・・・」
「ほら!わかってない!!!!!」
リードがラップトップを持った手を大きく振りかぶった。
「リード!!!!」
悲鳴のようなホッチの声に、リードが動きを止める。
「・・・ホッチ。このモニターの中の僕と今ここに立ってるリアルな僕とどっちが好きなの?」
「もちろん、リアルなリードだ」
そこははっきりしている。録画はちょっとした出来心だ。セックスの最中に体位の関係で見ることのできない表情を見たかっただけの話だ。リードは睨めつけるようにホッチを見ると、映像を止めてから静かにラップトップをローテーブルの上に置いた。
「僕は怒ってるんだ」
「・・・そうだな。俺が悪かった。ビデオを撮ったりなんかして」
「僕が怒ってるのはそこじゃないの!」
「違うのか?」
「ホッチが録画してるのは知ってたもん。僕が怒ってるのはね・・・」
「教えてくれ、リード」
ホッチが懇願する。リードは鞄を外し、床の上に置くと、ホッチの膝に跨るようにして座った。
「ホッチが浮気なんかしないのは分かってる。でもね、気持ち良くなりたいなら、偽物の僕じゃなくて、本物の僕で気持ち良くなって。・・・正直、僕、あのモニターの自分のめちゃくちゃ嫉妬してる。僕じゃなくて、あんな画像でホッチが気持ち良くなるなんて、絶対に嫌。それって、僕にしてみたら、浮気と一緒」
そう説明されて、ホッチもようやく合点がいく。つまりは、リードの嫉妬だったのだ。自分の分身に対する。
「・・・リード・・・いや、スペンス、悪かった。俺が悪かった。今日は残業もなかったし、お前はJJたちと出掛けてしまったようだったから・・・つい、魔が差した」
「・・・僕だって・・・本当はさ、貴方と一緒に帰りたかったんだ。でもさ・・・貴方が喜ぶことしたくて・・・ちょっとJJたちと出掛けたんだ」
「俺が喜ぶこと?」
「うん・・・」
さっきまでの怒りは何処へ行ったのやら、リードは小さな声で恥ずかしそうに俯いた。
「スペンス?」
ホッチがリードの長めの金髪を撫で付ける。
「俺が喜ぶことって?」
「・・・・・・待って・・・」
リードは緩く締めたネクタイを解き、床に落とす。そしてチノパンからシャツの裾を引っ張り出すとい、ボタンを全て外した。そして、
「これ・・・。JJが似合うって言うから・・・その・・・買ったの。それで、ホッチに見てもらいたくって、お店で着て、そのままここに来たの・・・」
「ほう・・・」
ホッチは簡単の声を上げた。リードがシャツの下に身に付けていたのは、オフホワイトのレースで彩られたブラだった。アンダーが少し長めで、リードの腹部をほんの少しだけ隠している。が、そこがまたいい。
「確かに、似合ってる」
「ほんと?」
「これを買いにJJたちと出掛けてたのか?」
「だって・・・可愛いランジェリーを着たら、ホッチは絶対に喜ぶって、JJもエミリーもガルシアも言うんだもん。・・・変じゃない?」
「全然」
ホッチはレースのブラ越しに、リードの平らな胸を触った。しかし。
「だーめ!」
リードはホッチの手を掴んで、自分の身体から離す。
「リ、リード?」
「ホッチは僕に触っちゃダメなの。お仕置きしなくっちゃなんだから。浮気したでしょ?」
「浮気って・・・」
「録画した僕と!」
どうやら、まだ怒っているらしい。
「これから、お仕置きタイムなんだからね!」
リードはホッチの膝の上から降りると、その大きな手を取るとソファから立たせる。
「ベッドに行こ?」
リードは蠱惑的に微笑むと、ホッチの手を引いて、寝室へ続く階段を上ったのだった。
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リードは手早く下着姿になると、ホッチをベッドに押し倒した。パンティもブラとお揃いのレースのものだった。ホッチにしてみれば垂涎ものである。我慢できずに、リードに触れようと手を伸ばすと、パシンっと払い退けられた。
「ダメなの。お仕置きなんだから。アーロンは僕に触っちゃダーメ!」
美人が起こると怖い・・・とはよく聞くが、リードの場合は可愛くなるらしい。プンスコ怒っているリードは可愛い以外の何者でもなかった。リードは丁寧に時間をかけてホッチから衣服を剥ぎ取ると、満足そうに微笑んだ。
「アーロン、元気だね」
「スペンスが目の前にいるんだ。仕方がないだろう」
「良かった。・・・映像の僕と、今ここに存在してる僕と、どっちが好み?」
「もちろん、今、目の前にいるスペンスだ」
「じゃあ、もう二度と、僕以外で気持ち良くならないでね。アーロンを気持ち良くしていいのは、僕だけなんだから」
リードは尻を高く上げて頭を下げると、すっかり勃ち上がっているホッチを口に含んだ。口は少し大きめのリードではあったが、ホッチの存在をそれを凌駕するほどのもので、全てを含むことはできなかった。だから、先端や竿や根元を唇と舌を使って、丁寧に愛撫した。しかも、わざと、ゆっくりと。
「はぁ・・・スペンス・・・」
ホッチがリードの髪に触れようとするが、それを察知したリードはそれを払い退けた。口から大きな高ぶりを離すと、ホッチの顔を見据えて言う。
「言ったでしょ?これはお仕置きなの。だから、アーロンは僕に触っちゃダーメ!」
ビシッと人差し指をホッチに突きつけると、ズリズリと立ち膝のまま、場所を移動した。
「ねえ、アーロン。僕の中に入りたい?」
首を傾げながら、中指で長い髪を耳にかけながら、リードがホッチに問う。
「ああ・・・もちろん」
「じゃあ、入れてあげる。・・・でも、アーロンは動いちゃダメなんだからね。もし、動いたら・・・抜いちゃうから」
リードはそう言うと、パンティを脱ぎ、右手でホッチの屹立したものを支え、左手で自分の後孔を軽く広げると、その先端を宛がった。ホッチとの度重ねる性交で、いつもリードのそこは柔らかい。しかもホッチの先端は既に滲み出た精液で濡れていたので、慣らすことなく受け入れることができた。リードはゆっくりと静かに、腰を沈めた。
「あっ・・・んっ・・・はぁ・・・あ・・・」
ズブズブと自分の中に受け入れるホッチの昂りが気持ちいい。これは絶対に自分だけのものにしておきたかった。相手が録画された自分だとしても許せるものではない。心が狭いとは自分でも思うが、仕方がない。リードはホッチの全てを自分の身体の中に収めると、わざときゅうっと締め付けた。
「くっ・・・」
ホッチが呻く。下から突き上げたい衝動に駆られたが、それをやったら、きっとリードは自分の身体から離れて行ってしまうだろう。そういうところは意外と強情だ。ホッチは仕方なく、シーツを指先で握りしめた。リードがホッチの腹に指を置き、身体を上下に動かし、自分の力で抽挿を始める。粘膜が擦られるのが、互いに気持ちがいい。
「あ・・・あんっ・・・ふあ・・・アーロンの・・・おっき・・・」
リードに触れたくなるのを、下から突き上げたくなるのを、必死に堪えて歯を食いしばる。そんなホッチの表情を見つめながら、リードが微笑む。
「・・・アーロン、いい子。本当は動きたいんでしょ?僕をめちゃくちゃにしたいんでしょ?」
「あ、ああ・・・そうだ・・・スペンス・・・」
「どうしようかなぁ・・・許してあげようかなぁ・・・」
「ああ・・・許してくれ、スペンス」
リードは返事をせずに、ぎゅうっと後孔に力を入れて、ホッチを締め上げた。
「くっ・・・ス、スペンス・・・ああ・・・頼むから・・・」
「我慢してる貴方の顔って、かなりセクシー。・・・好き」
リードは身体を繋げたまま、顔をホッチの顔に寄せると、その唇にキスをする。舌を差し込んで、口の中を擦り上げる。ホッチも自分の舌を自らリードに絡めたかったが、まだ許しを得ていないので我慢する。しかし、塞がれた口でリードの名前を呼んだ。二人の唇の間で、それがくぐもる。リードはシーツを掴んでいるホッチの指に自分の指を絡め繋いだ。そして、そっと唇を離す。
「アーロン。証明して。映像の僕よりも、今ここにいるリアルな僕の方を何倍も愛してるって証明して。そうしたら、許してあげる」
その言葉に、リードの中のホッチが数倍に膨れ上がる。
「ひゃっ・・・あ・・・あんっ・・・凄い・・・アーロン・・・」
「リアルなお前じゃなきゃ、こうはならない、スペンス」
「それが・・・証明?」
「動くことを許してくれたら、どれだけお前を愛してるか、もっと証明できる」
「・・・そう。・・・じゃあ、いいよ・・・アーロン。まだ、許さないけど、動いていいよ」
その言葉と同時に、ホッチは上体を起こし、素早くリードの身体をベッドに組み敷いた。そして、美しい両脚を抱え上げ、全ての体重を真上からかけるようにして押し潰す。そして、ガツガツとリードの体内を犯したのだった。
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「・・・無理・・・辛い・・・身体が動かない・・・喉が乾いた・・・アーロン、酷い・・・」
「悪かった。つい、我慢が・・・」
ホッチは申し訳なさそうに言うと、キッチンから持ってきたペットボトルをリードに渡そうとした。が、すぐにやめる。リードは身体が動かないと言っているのだ。ここは自分が飲ませてやるべきだろう。ホッチは冷たい水を自分の口に含むと、リードに口移しで飲ませてやる。リードも嫌がる風でもなく、素直にその行為に身を任せた。唇を押し付けて、もっと水を強請る。ホッチは3、4回、口移しで水を飲ませてやった。
「は・・・あ・・・ありがと、アーロン」
「それで?俺は許されたのか?スペンス」
「んー・・・。そうだね。許してあげる。だって、流石の貴方でも、映像の僕を抱き潰すなんてことできないもんね。リアルな身体の僕だの特権。・・・って、僕だけだよね?」
「ああ、もちろん。スペンスだけだ」
「・・・でもね、どうして録画だったの?」
「それは・・・ああいう抱き方だと、スペンスの顔が見えないだろう。それで・・・」
「・・・鏡を使えばいいんじゃない?そうしたら、後ろから僕を抱いても顔を見られるよ?」
「それも・・・そうだな。じゃあ、今度の休みは鏡を買いに行くか」
「ふふっ・・・あ、そうだ。アーロン、ラブホテルって知ってる?」
「ん?」
「あのね、日本にあるホテルでね、セックス専用のホテルなの。内装が面白くて、鏡張りの部屋とかもあるんだってー。天井が鏡とか」
「ほう。で?その情報は何処から?」
「JJとエミリーとガルシア。ガルシアはパソコンで、ホテルの映像を見せてくれたんだよ」
そう言いながら、リードは怠い身体を動かして、もぞもぞとホッチの腕の中に納めるようにした。ホッチも自然とその身体を抱き寄せる。オフホワイトのブラは身に付けたままのリードが愛らしい。それにしても、とホッチは思う。JJとエミリーとガルシアにはすっかりバレていることを改めて知る。しかし、普段はそんな素振りは全く見せない3人だ。流石、プロ意識というのか。けれども、自分を喜ばせるために、いろいろな情報をリードは得ているのだろう。自分の腕の中で、くうくうと寝息を立て始めたリードの金髪にキスを1つ落とすと、ホッチはベッドサイドのスマホを手に取り、早速「ラブホテル」を検索し始めたのだった。
END