Happy Present

「フィンランドのサンタクロースに、もう手紙は書いたのか?」

ホッチは朝食のコーヒーを飲みながら息子に尋ねた。

「うん!とっくに書いたよ!」

ジャックは明るく応えた。

「父さんには見せてくれないのか?」

「内緒だもん。僕とサンタクロースの秘密なんだ」

「・・・そうか」

そんなジャックの返答を聞いて、ホッチは困る。これでは、クリスマスまでに息子の為のプレゼントを用意することができない。正直、困る。去年までだったら、いつも嬉しそうに教えてくれるのに。今年は秘密とは。

「せめて、ヒントをくれないか?ジャック」

「やだよ。これは絶対に内緒の絶対に秘密のクリスマスのお願いだから。とっておきなんだ」

とっておきのプレゼント。どうやら、いつものヒーローグッズではなさそうだ。ホッチは心の中で頭を抱えた。

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「内緒のクリマスプレゼントなの?」

リードはホッチの運転する車の助手席で首を傾げた。

「ああ、そうなんだ。だから、困ってる。一体、何を靴下に入れたらいいものやら。まあ、大きなものなら、クリスマスツリーの下だが・・・」

「ふうん・・・。でも、きっと、ものすごく欲しいものなんだろうね」

「だからこそ、困ってる。ヒントもくれない」

「・・・僕から、聞いてみようか?もしかしたら、ちょっとはヒントをくれるかも」

「そうだな。そうしてくれると助かる。ジャックもリードには懐いているし、勉強も教えてもらっているし、何か言うかもしれん」

「うん、わかった。それとなく聞いてみるね」

仕事が終わり、二人は車でホッチの家へと向かっていた。夕食を3人で食べるのと、リードがジャックの勉強を手伝うためだ。科学のプレゼンテーションがあって、ジャックがリードにアドバイスを願ったのだ。

「今日は冷えるから、ビーフシチューだ。食べられるな?」

「大丈夫。僕、好き嫌いはないよ?」

「俺がいないと、まとも食事も取らないくせに」

「だって、面白い本があると・・・つい・・・・・・ごめんなさい」

「別に謝ることはない。ビーフシチューには人参も入っているからな」

「もうっ。食べられるってば!そんなにお子様じゃないよー!」

「ははっ。そうだな。しかし、リードが野菜を食べると、ジャックも嫌がらずに食べるからありがたい」

「ふふっ。ちょっと野菜の好き期待があるもんね。ジャックは。でも、大丈夫。大人になったら、味覚って変わるから」

「だといいが」

ホッチは車をガレージに入れた。

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「うわぁ!リード、いらっしゃい!!!!」

破顔したジャックがリードを迎え入れた。

「ダッドもおかえりー。あのね、ビーフシチューを少し温めておいたよ」

「父さんがいないときに、キッチンを使ったのか?」

「それくらい、できるもん。でも、ナイフは使ってないよ?だから、サラダは、まだ」

「じゃあ、僕がサラダを作るね」

リードが袖を捲る。

「リードが作ったサラダなら、僕、食べる!」

「ええ?お父さんが作ったサラダは食べないの?」

「・・・だって、細切りの人参とかピーマンとか入ってるし・・・」

「今日のビーフシチューだって人参が入ってるよ?」

「・・・煮込んでるから、大丈夫。それにリードがいるから」

「僕、関係ある?」

「あるよー!!」

「ほら、二人とも、夕食にするぞ。リード、サラダを頼む。俺は最後の仕上げをするから」

「うん。ほら、ジャック、レタスを千切るのを手伝ってくれる?」

「はーい!!」

そんな二人の姿を見て、まるで母親と息子だな、とホッチはかすかに笑った。

ビーフシチューにイギリスパン、それにリードとジャックが作ったサラダ。人参が若干少なめなのは、まあ良しとしよう。

「ねえ、リード。夕食が終わったら、僕の科学のレポートとプレゼンテーションを見てくれる?明日、覇票なんだ!」

「OK。もちろんだよ。そうそう。人参をしっかりと食べると、賢くなるよ?」

「ええ?嘘だぁー」

「本当だよ。僕は人参を食べるようになって、勉強もすっごくできるようになったから」

「そうなんだー。そっかー。リードが言うなら間違いないよね。うん、わかった!僕、食べる!」

そう言って、ジャックはビーフシチューの中に少し大きめな人参にフォークを刺したのだった。

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「どお?」

「いいね。よくまとまっているレポートだと思うよ。そうだな、この辺りに、根拠となるデータを添付するといいかも。スライドショーは完璧だね」

「ありがとう!!」

ジャックの部屋で、リードはレポートとプレゼン資料を見て、アドバイスをした。しかし、さすがホッチの息子。たいしてアドバイスすることはなかった。優秀で本当に賢い。

シャックは、デスクの上を片付け始めた。その様子を見ながら、リードが尋ねる。

「ねえ、ジャック。クリスマスは楽しみ?」

「え?あ、うん!もちろん!だって、サンタクロースが願い事を叶えてくれるんだよ!」

「願い事っていうか、プレゼントをくれるんじゃないかな?」

「プレゼントって願い事の1つでしょ?」

「うーん。まあ・・・そうかな。・・・ねえ、ジャックの欲しいものって、靴下に入るの?」

「入らないよ」

ヒント、ゲット。リードは心の中でガッツポーズをした。

「じゃあ、クリスマスツリーの下に置くしかない物なんだね」

「えー・・・それもないかなぁ・・・。それだったら、ちょっと怖い」

「え?ツリーの下に置けないの?」

「うん。それだと死体みたいになっちゃう」

「し、死体?」

これはヒントか?そうではないのか?リードは眉間に皺を寄せた。

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「・・・それは・・・等身大のヒーロー人形とかか?」

「わかんない。けど、可能性はあるけど・・・でも、違うような気もする。だって、ジャックはヒーローに憧れてるけど、一番のヒーローはホッチ、貴方でしょ?ホッチの等身大マネキンとか欲しがらないでしょ?本物が側にいるのに」

「・・・迷宮入りだな。・・・頼む、リード。クリスマス・イブはうちに泊まってくれ。俺は25日の朝が怖い」

「困っちゃったね。ジャックの欲しいものがわからない。とにかく大きいってことだけ」

「それと・・・置いたら死体になる・・・か。わからん」

「でもさ、ジャックは絶対にサンタさんに貰えるって自信があるみたい」

「親の欲目だが、いい子だからな」

「そう。本当にいい子。・・・だから、あげたいよね。ジャックが本当に、欲しい物」

「ああ・・・」

しかし、二人ともジャックの欲しい物に検討がつか図、溜息をつくばかりだった。

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「等身大のアイアンマンとかスパイダーマンの人形をあげたらいいんじゃね?」

「あら、等身大のバービー人形かもよー」

「女の子じゃないんだから」

「女の子じゃないから、欲しいってこともあるだろー」

などと、無責任な発言をするBAUメンバーたちに囲まれつつ、事件も解決しながら、とうとうクリスマス・イブの日がやってきた。ホッチやリードのみならず、BAUの仲間たちも探りを入れてくれたし、なんだったらJJが息子を使って聞き出そうともしてくれた。しかし「これは絶対の秘密のプレゼントだから」となかなか口を割らないジャックだったのだ。

「クリスマス・ディナーは完璧なんだがな」

「そうだね。ホッチはジャックの食べたいもの全部用意したもんね。あ、僕は空想科学読本の本をあげることにしたよ」

と、リードがラッピングされた四角い物をホッチに見せた。

「空想科学?リードらしくいないな」

「そお?でもさ、これもしヒーローが実在したらどうなるかってことを科学的に検証した本なんだよ。元々はジャパンの本の発想なんだけど、それのマーベル版って感じ?」

「そうか。しかし・・・」

「ホッチ、気を落とさないで。ジャックはいい子だから、貴方が用意したものをジャックは喜ぶよ?」

そんなホッチが用意したのは、等身大ではないが、あらゆるマーベルヒーローたちのフィギュアだったのだ。

「ねーねー、ダッド!リード!ディナーにしようよ!」

キッチンでこそこそしている二人に、ジャックが声をかける。

「あ、ああ、そうだな」

「い、今、行くね」

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ホッチお手製の豪華で美味しいディナー。3人での楽しい会話。独りぼっちのクリスマスが多かったリードには新鮮で嬉しかった。きっとホッチとジャックも二人でささやかなクリスマスを過ごしていたのだろう。リードは赤ワインでほろ酔い気分になりながら、ハンサムな父親と活発なその息子を、ニコニコとした笑顔で眺めたのだった。幸せだなぁ・・・と思いながら。

「じゃ、僕はもう寝るね!早く寝ないとサンタさんがきてくれないから!」

食事を終え、片付けを手伝い、風呂と歯磨きをしたジャックが、そう宣言する。ホッチとリードがそれぞれジャックの頭にお休みのキスをする。

「おやすみ」

「おやすみー」

軽快に階段を上がって行くジャックを二人は見送った。ドアのパタンと閉まる音で、ふーっと溜息をつく。

「・・・プレゼント・・・置こっか?ホッチ」

「・・・ああ・・・そうだな」

マーベルヒーロのフィギュアと空想科学読本。それからBAUのメンバーたちから預かったプレゼントを、クリスマスツリーの下に並べる。

果たして、この中に正解はあるのか。

「大丈夫だよ、ホッチ。今から、そんな顔をしないで」

「ああ・・・そうだな。・・・せっかく、リードもいるんだし、これから大人のクリスマスをするか」

「大人のクリスマス?」

「ああ。良いシャンパンがある。それにチーズ。シャンパンに合うチョコレートもあるぞ」

「いいね」

「それらをトレイに乗せて、寝室に行こう」

「え?ベッドの上で、飲んで食べるの?お行儀悪くない?」

「いいんだ。大人のクリスマスだからな。さあ、準備を手伝ってくれ」

「OK!」

寝室で大人のクリスマス会が始まる。シャンパンを飲みながら、軽いスキンシップやボディタッチ。それがいつしか、冗談ではない、本物になる。

「は・・・あ・・・ダメ・・・だよ・・・ジャックが・・・いるんだからぁ・・・」

「もう、眠ってる」

「でも、起きちゃうかも」

「サンタを待つ良い子だから、絶対に起きない」

「なあ・・・に・・・それ・・・んっ・・・」

耳朶を甘く噛まれて喉奥から声が出そうになる。これまでもホッチの家の寝室で抱き合ったことはあるが、それはジャックがお泊まり会や合宿で不在の時だ。ジャックが在宅している時に、この部屋でリードがホッチに抱かれたことはない。それはリードが自分で決めたルールでもあった。それが今、破られそうになっている。

「ホッチ・・・ホッチ・・・だめ・・・ねぇ・・・だめ・・・」

「ダメじゃない」

ホッチは強い力でリードをシーツに縫い留める。

「声・・・出ちゃうもん・・・」

「我慢できるか?」

リードは首を横に振った。

「・・・自信ない・・・」

「そうか」

ホッチは静かにゆっくりとリードの身体を裏返した。そして首の後ろを舐め上げる。

「ひ・・・んぐ」

リードは声を出しそうになった瞬間、シーツを噛んだ。

「それでいい。それなら、ジャックにも聞こえない」

ホッチは顔に笑顔を貼り付けながら、丁寧にリードの衣服を剥いでいった。至るとこを吸った李、舐め上げたりしながら。確実に朱痕を残しながら。

「ぐ・・・く・・・・んグゥ・・・」

「可愛らしい声で哭くリードもいいが、こうして堪えているのもいいな」

「んっんっんっ・・・んんっ・・・んっ・・・」

リードの身体を背後から揺らしながら、ホッチが耳元で囁く。指先で乳首をキュッと摘むと、リードの体が跳ねた。楔を打ち込まれている白い尻を、ホッチの腹に擦り付けるように動かめかす。可愛らしいこと、この上ない。シーツに白い精を解き放つリードを見ながら、ホッチのその体内に白濁を押し込むように注いだのだった。

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「ふ・・・ん?」

ほわん・・・とした気持ちでリードはゆっくりを目を覚ました。

「何処だっけ?」

と眼球を動かして、周囲を確認する。

「・・・あ・・・あ!!!!!!」

リードは怠い身体をなんとかベッドの上に起こした。自分の身体もシーツも綺麗だ。ホッチが全て後始末をしてくれたのだろう。いつものように。

ホッチの寝室には、幾ばくかの自分の衣服は置いてある。チェストの引き出しを開けて下着を出すが、肝心のトップスとボトムがない。仕方がないので、椅子にかかっていた、ホッチのシャツを羽織る。昨日、脱がされた服をも当たらないからだ。すでに部屋のホッチはいない。きっとすでに階下なのだろう。

「ああっ!ジャックのプレゼント!!!」

リードはシャツのボタンを留めながら、寝室を慌てて出て、1階に降りる。そこには、クリスマスツリーの下で体育座りをしているジャックと、その姿を項垂れるようにして見下ろすホッチの姿があった。どうやら、マーベルのフィギュアはハズレだったらしい。しかし、黙っているわけにもいかない。

「・・・お、おはよう、ジャック、ホッチ。えっとジャック?サンタさんに何を貰ったか見せて教えてくれる?」

そうリードが言った瞬間、ジャックは立ち上がり、顔に満面の笑みを浮かべて、リードに走り寄ってきたのだった。そして、リードの腰の辺りにしがみつく。

「ジャ、ジャック!?」

ジャックを身体を抱きしめがら、その向こうにホッチを見る。ホッチは何故か驚いたような顔をしていた。

「やっぱり、サンタさんにお願いしてよかった!!!」

「え?何?どういうこと?ジャック?何をお願いしたの?やっぱり、マーベルのフィギュアが嬉しかった?」

「違うよ!僕は、サンタクロースに、『リードがママになって欲しい』ってお願いしたんだ!」

「へ?」

「クリスマスの朝になって、起きてもリードがいなかったから、きっと僕、悪い子だから、サンタクロースはお願いを聞いてくれなかったんだって思ったの!でも、こうしてリードが家にいてくれるってことは、リードは僕のママになってくれるってことだよね!?」

「えっと・・・その・・・」

ジャックのフォローのために泊まったとは言えない状況だった。そして、気づけばホッチが近くにいた。

「そうだ。ジャック。リードはジャックのママになってくれるんだよ。父さんがちゃんとお願いしたから」

ホッチが息子の頭をポンポンと愛情を込めて軽く叩く。

「ありがとう!ダッド!」

「ちょっと!ホッチ!」

「それじゃあ、朝食にしようか。ジャックは何がいい?」

「リードママのの作ったパンケーキ!」

「そうか。作ってくれるか、リード?」

「・・・つ、作るよ・・・作るんだけど・・・」

「僕、エプロン、持ってくるね!」

タタタっとジャックが駆けて行く。

「・・・ホッチ?どうしよう・・・」

「どうもこうも。リードが下に降りてくるまで、ジャックは意気消沈してたんだ。自分は悪い子だからお願いを聞いてもらえなかったって。何をお願いしたかも教えてくれなくてな。しかし・・・リードママとは。確かに、ツリーの下でリードが横になってたら、死体だな」

「そういうことじゃなくて!」

「・・・今日は買い物に行こう。指輪を買わなくてはな。ああ、それと、色々と順番が逆になったが・・・リード、結婚しよう」

「・・・それ、決定事項?」

「先にママになったがな」

「ジャックのことは悲しませたくない。でも・・・」

「今日はクリスマスだ。嫌な言葉はなしで」

「・・・いいの?僕で」

「俺もジャックも君がいい」

「・・・ありがとう。・・・なんだか、僕にとっても最高のクリスマスかも・・・」

「Merry Xmas、リード。そして、愛してる」

「うん。僕も・・・」

二人の唇が重なろうとした瞬間。

「リード!エプロン持ってきたよー!!!」

「あっ、ありがとうっ」

慌てて離れる。けれども。

「ダッドもママは、おはようのキスしてもいいんだよ?」

そんなジャックの言葉に赤面するリードだった。

 Happy Merry Christmas !

END