「んー・・・?」
スペンサー・リードは、鏡に映る自分の全身像を見ながら首を傾げた。何やら、スカートが短くなっているような気がするのだ。
「もしかして・・・」
リードは、ポンっと手を打った。
「遅くきた成長期?」
きっと少し背が高くなって、それでスカートが短くなってしまったに違いない。リードはそう考えた。と、同時に、両手で小さな自分の胸を触る。
「どうせなら、こっちが成長して欲しいなぁ・・・。そうしたら、きっと、ホッチも喜んでくれると思うのに・・・」
ホッチはリードに、いつも素敵なランジェリーを用意してくれるのだが、自分の胸があまりにも貧弱すぎて、似合わないように思えるのだ。だから、ホッチに申し訳ないと思いつつも、自分から進んでセクシー・ランジェリーを身につけることをしないリードだった。
「あ、もう、出勤する時間だ!」
リードは時計を見ると慌てて、茶色い鞄を斜めがけにして、部屋を出たのだった。
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「え?小学校にお出かけ?」
リードは目を丸くした。BAUの仕事と小学校はあまりにも、相入れないような気がしたからだ。
「そう」
JJが頷いた。
「ほら、ジャックのクラスでね、輪番でお父さんやお母さんの仕事を紹介する授業があるの。それで、とうとうホッチの出番になったっていうわけ」
「でも、どうして僕が一緒に行くの?」
「あら、だって、リードはホッチの一番弟子じゃない?それにジャックも懐いてるし」
「うーん。モーガンが行った方が、ザFBIって感じがしていいと思うけど」
「モーガンは別な仕事よ。あら、噂をすれば・・・」
モーガンが何やら紙袋を片手に、二人に近寄ってきた。また、ドーナツかな?などと甘いものの好きなリードは思ったが、その紙袋を手に押し付けられると、すぐにそれがドーナツでないことはわかった。クシュっとなったからだ。
「なあに?何なの?これ、モーガン」
リードはモーガンに問うた。
「今日は小学校に行くんだろう?だったら、それは必需品だ。いつもの果物がらパンツの上から履いとけ」
「へ?どういうこと?」
「まあ、中身を見てみろっての」
言われてリードはガサゴソと紙袋を開いた。
「うわっ・・・何、これ!」
「アンダースコート。よくテニスプレイヤーが履いたりしてるだろ。あれだ。通称、見せパン」
「なっ、何で、小学校に行くのに、見せパンを履くの!」
リードは慌てて問いただす。
「小学生男子がやることなんて決まりきってる。1にスカート捲り、2にスカート捲り、3、4がなくて、5にスカート捲りだ」
「ジャックはそんなことしないよ!」
「小学校にはジャック以外の男子がわんさかいるからな。しかも、そのミニスカートじゃ、絶対に狙われる」
「ぼ、僕、チノパンに履き替えてくる」
「残念ながら、その時間はないな。ホッチがオフィスから出てきた。ほら、タグは取ってるから、ここで履いちまえ、見せパン。早く!」
「ひゃっ。急かさないでよ!!!」
結局、壁になった、JJとモーガンに隠れて、リードはキウイ柄のバナナ柄のパンティの上から、アンダースコートを履くことになったのだった。
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「どうしたリード?」
小学校の構内を歩きながら、妙にスカートを気にしているリードを横目に、ホッチが尋ねる。
「え?な、何でもないです。ほら、小学校って久しぶりだし・・・その」
「ああ・・・そうか。すまなかったな。リードは小学校にあまりいい思い出はなかったか」
ホッチはリードが幼い頃に虐められたことを言っているのだろう。それに気づいて、リードはブンブンと首を横に振った。
「ち、違うの!そうじゃないです!・・・なんか・・・久しぶりだなぁって・・・。それと、僕あんまりFBIっぽくないし・・・ホッチと一緒に来るのが僕でよかったのかなぁって・・・」
「君がいいんだ。ジャックの推薦だからな」
「ジャックが僕をお勧めしてくれたの?」
「そうだ。俺と一緒に来るなら、リードがいいと」
「そっかー・・・じゃあ、僕、頑張らなくちゃ」
「別に気負わなくてもいい」
その時、1時間目の授業が終わるベルが鳴った。あちらこちらの教室のドアが開き、元気一杯の小学生たちが飛び出してきた。
「さあ、ジャックの教室はここだ・・・」
と、ホッチが言った、その時。一人の男子が、走ってきて、リードの横をすり抜けざまに、スカートを思いっきり捲ってきたのだ。
「ひゃっ!!!!」
「ちぇっ!何だよ!見せパンかよ!つまんねー!!!」
「俺はいちごだと思ったんだけどな」
「俺はピンクのレース」
「どっちも外れー」
「えっ・・・えっ・・・えっ・・・」
リードはびっくりしている間に、悪童たちは走り去って行ってしまった。
「び、びっくりしたねぇ・・・ホッチ・・・って、え!ちょっと!ホッチ!ダメ!銃はしまって!!!!!」
校内で銃を抜いているホッチに、リードは慌てて、宥めるように注意したのだった。
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リードがスカート捲りをされて憤っていたホッチではあったが、愛息を目にすると、すぐに優しい父親の目になった。そんな姿を見て、リードもホッと胸を撫で下ろす。本物のFBI、ということで授業も盛り上がった。まるで女子高生みたいな風体のリードは、すぐに女子たちの人気者になった。小学生女子は可愛いものが大好きだ。ガルシア仕込みのヘアアクセサリーはなかなかの評判だった。何人もの女子たちに「可愛い!可愛い!」を連発されて、嬉しくもあり、困ってもしまうリードだった。ホッチはジャックの父親ということもあるが、やはりBAUのユニットチーフということもあり、これまたすぐに男子たちの人気者になった。プロファイリングの実演では、教室中が、感心のため息でいっぱいになった。最後に、担任の先生に、「FBIエージェントになるための秘訣は?」と聞かれ、ホッチは、
「人を・・・特に男であるならば女性を敬うことですね。女性にいたずらをするなどは・・・言語道断です」
と言って、さっき、リードにスカート捲りをした男子を睨みつけた。そのあまりの眼光の鋭さに、当該男子は「お漏らししちゃった・・・」と後に担任に訴え出たという。
いずれにせよ、ホッチとリードによる、FBIの授業は成功したのであった。そして、帰り際、ホッチはリードの耳元に囁いたのだ。
「戻ったら、俺のオフィスに来なさい」
それは有無を言わせない命令だった。
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「さて。スカート捲りされたのは君の責任ではない。が、そのスカートに中について説明をしてもらおうか」
「えっと・・・その・・・モーガンがね、小学校に行くなら、必需品だって言って、くれたの」
「ほう。モーガンが」
「うん。でも、モーガンの言った通りだった。やっぱり、僕、スカートを捲られちゃったもん。履いてて、良かった。アンダースコート」
「’別名、見せパン、な」
「そんな・・・・見せる為に履いたんじゃないよう・・・。だって、今日の僕、バナナ柄だし」
「・・・バナナ・・・。本当にリードは不思議な柄のパンティを持ってるな。そして、俺の贈ったものは履かないときている」
「だって・・・。僕、貧弱だし・・・。背ばっかり大っきくなって、大事なところが全然なんだもん」
「大事なところ?」
リードは自分の胸を指差した。
「ああ。大丈夫だ。そこはいずれ大きくなる。俺がちゃんとマッサージをしてやってるからな」
「だと、いいんだけど。エミリーくらい大きくなったら、いいんだけどなぁ」
「いや、そこまで大きくならなくてもいい。リードにはリードに似合ったサイズがあるから」
「そう?」
「ああ。それよりも、ちょっと回って見せてごらん」
「ん?どういうこと」
「一回転して見せてくれ」
「?こんな感じ?」
リードはくるりとその場で一回転した。遠心力で、ミニスカートが翻る。見えるのは、白いアンダースコート。まあ、悪くはない。
「もう一度」
「はーい」
無邪気にリードは何回も回って見せた。
が。
ずでーん!!!
いきなり、転んだ。
「リード!」
「ふえぇ・・・ホッチ・・・目が、目が回っちゃったよう・・・」
床に倒れたリードは目を頭をクラクラとさせていた。
「すまなかった。可愛らしくてな。つい・・・」
目が回ったリードをホッチはお姫様抱っこすると、黒いソファに横たわらせた。
「少し、休むといい。それと、もう、ここは小学校じゃないから、アンダースコートは脱いでいいな」
ホッチがリードのスカートの中に手を入れる。
「バナナ柄を見せてもらおうか」
「ホッチが贈ってくれたのでなくてごめんなさい」
「今夜、無理矢理にでも履かせるから構わない。ジャックが家に来て欲しいそうだ。今日の授業のお礼がしたいと言っていた」
「本当?嬉しいな」
「3人で、夕食を食べよう。俺が腕をふるう」
「ホッチは料理が上手だもんね。僕も見習わなくちゃ」
「リードはそのままでいい。そのままのリードで充分だ」
「・・・僕、そう言ってもらえて幸せ。でも、ホッチとジャックの為に、頑張るってこと、したいんだ」
「そうか。じゃあ、今夜はジャックと一緒にサラダを作ってくれ」
「うん!わかった!」
そんな会話の間に、モーガンの用意したアンダースコートは脱がされて、放り投げられた。ホッチの目に映るのは、黄色いバナナ柄の木綿のパンティだ。しかし、今夜のベッドでは、同じ黄色でも、もっとレースがふんだん使われたパンティを履かせようと誓うホッチだった。
END