ホッチはリード脱力したリードの体をうつ伏せにひっくり返すと、そのウエストに力強い腕を回し、ぐいっと細い体を引き起こした。そして、胡座をかいた自分の膝に下ろそうとする。
「ふえ・・・あ・・・ホッチ・・・」
恐々とリードが不安気に振り向くと、ホッチが眉を顰めて不機嫌そうな表情をしている。ああ、そうだった。こういう時の約束だ。だから、リードは、もう一度、愛する人の名前を呼び直した。
「アーロン・・・んっと・・・」
「インターバルがあると思うな。大丈夫だろう?スペンス」
「う・・・ん・・・」
ホッチとのセックスにもだいぶ慣れ、立て続けに抱かれることに抵抗はない。それに、今夜の1度目は激しかったけれども、やっぱり何処か優しかった。否、ホッチはいつだって優しい。
一度は放出したというので、既に勃ち切っているホッチの甘い凶器に、そろそろと腰を下ろす。自分の後孔は十分に柔らかい。リードはホッチの雄に細い指を添え、その先端を自分に宛てがうと、自重をかけていった。張り出した部分を飲み込むときに、一瞬、動きが止まり、息を飲む。けれども、すぐに小さく甘い吐息を吐くと、さらにズブズブとホッチを飲み込み始めた。
「いい子だ。スペンス」
後ろからホッチがリードの髪を梳き、撫でる。さらに、指先でその小さな顔をなぞる。その指の動きが、リードは好きだった。
時間をかけて、ホッチの全てを飲み込んだリードは、ベッドに手をついて、呼吸を整える。膝と、左右柄違いの靴下を履いたままの足先の置き場所を考えて位置をずらす。今度は自分が動いて、ホッチに喜んでもらおうと、リードは思ったのだ。
それなのに。
いきなり、両太腿の裏を掬い上げられた。
「ひゃっ・・・あ・・・ホッチっ・・・」
「・・・スペンス?」
「あ・・ん・・・ごめんなさい・・・アーロンっ・・・」
再び恋人の名前を呼び直しながら、ただ一点だけで繋がっている不安定さから、リードは何かに掴まろうとするのだが、拠り所がない。けれども、逞しく、力強いホッチに腕に脚を抱えられていることを思い出し、全身の無駄な力を抜く。そんな恋人の様子を確認して、ホッチはその白い背中に唇を落とした。
「んっ・・・あんっ・・・くすぐったいよ・・・ふっ・・・んん・・・」
くすぐったいと言うわりには、リードは小さいけれども、嬉しそうな声をあげる。指や唇で体を辿られるのは、リードの好きな行為の一つだ。
ホッチの唇がリードの頸を捉え、キツく吸い上げると、それは始まった。抱えた太腿を持ち上げると、すぐに落とす・・・という行為。持ち上げられときにホッチが抜かれ、落とされたときにホッチがリードの奥を抉る。
「んあっ!・・・あっ、あっ、あっ・・・」
ぐじゅっ・・・ぐじゅっ・・・と音がする。さっきホッチが奥に放ったものが、今のリードの体を起こした体勢によって、流れ落ちてくるのもあり、ホッチの雄の動きは滑らかだった。
「はっ・・・あっ・・・あんっ・・・いい・・・いいよぅ・・・アー・・・ロン・・・すき・・・・んっ・・・」
あまりに気持ちが良くて、涙目になっているリードの視界には自分の両足。左右で柄の違う靴下に包まれている。それが、ボヤけた景色の中でゆらゆらと揺れている。そんな足先を見ながら、リードは自分の勃ち上がったものを両手で包んだ。ホッチが与えてくれる動きに合わせて、軽く握って扱く。
「んっ・・・んっ・・・んっ・・・やっ・・・あ・・・も・・・」
ぴくんっと、靴下に包まれた足先が伸びる。絶頂が近い。
「あ・・・い・・・イキたい・・・アーロン・・・イキたい・・・イってもいい・・・?」
「もうか?」
「ん・・・アーロンは・・・まだ、僕の中にいていいから・・・・でも・・・僕・・・イっちゃう・・・んっ・・・んくっ・・・」
自分を扱き上げる速度を増して、絶頂を迎える。
「んあっ・・・あー・・・」
短い悲鳴を上げながら、リードの体がヒクヒクと痙攣する。痙攣しながら、後孔が締まるのを、ホッチは感じる。まるで喰い千切られそうな感覚。
「まったく・・・君は・・・」
脱力したリードの体を揺らし続けて、ホッチもまた、その体の最奥へ精をを放とうとする。肩越しに見えるリードの足が可愛いらしい。なんだって、このジニアスは、いつも両足、柄の違う靴下を履くのだろう。尋ねたとしても明確な答えが返ってきそうにないので、問いただしたことはない。ただ、口にしたことはないが、その左右で柄や色の違う靴下を見て、『可愛い』と思うことは毎日だ。それは、相手がスペンサー・リードだからに他ならないのだが。それで、何と無く今夜は、服を逃がせても、靴下だけはそのままにしてしまった。
リードが一生懸命腕を後ろに回して自分に触れようとしてるのがわかる。それを感じて、ホッチはリードに体を密着させた。
「アーロン・・・僕の中・・・気持ち・・・いい?」
「ああ。出て行くのがもったいないほどに」
「へへ・・・褒められた・・・僕・・・」
「中だけじゃなく、君は全てがいい・・・」
「そ・・・なの?」
「ああ。両足で柄の違う靴下もいい」
「へ?・・・あ・・・ああ・・・んー・・・変?」
「いや、君らしいし、可愛い」
「可愛いって・・・ちょっと違うような気がするけど・・・あんまり気にしたことなかった・・・靴下・・・」
「そういう無自覚なところもいい」
そう言って、ホッチは一際リードの体を持ち上げると、激しくその体を落とした。それを繰り返す。
「ひゃっ・・・あんっ・・・」
再び、空中で揺れる、靴下。それを眺めながら、自分の体が翻弄されるのを感じる。そして、何度か落とされた後、ホッチが自分の体の中で爆ぜるのを感じた。お腹が、熱くなるのを感じ、それはリードの幸せに繋がっていった。
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「確かに。この状態なら、左右違う靴下になっても仕方ないな」
シャワーを浴びて、リードのチェストの引き出しを開けたホッチが言った。そこには、一足ごとになった靴下ではなく、左右バラバラになった色とりどりの靴下が放り込まれていたからだ。
「ごめんなさい、だらしがなくて・・・」
「君は、こういうことに頭脳を使う人間じゃないからな。別に謝まることじゃない」
「ん・・・ありがと、ホッチ」
ベッドから降りると、自然と呼び方が戻ってしまう。けれども、ホッチはそれを指摘はしなかった。閨の中だけでも、十分だった。あの可愛らしい、感じいった声で、自分の名前を呼ばれるのは。
「スペンス。今夜は泊まれるから」
「え!?本当!?じゃあ、朝食はちゃんと僕が作るね!あのね!ようやくオムレツが作れるようになったんだよ!!!」
「ほう。目玉焼きから進歩したな」
「うん!JJに教えてもらったんだ!」
嬉しそうに、リードが言う。
ジャックや仕事のこともあり、この可愛い恋人を一人、部屋に残して帰ることが多い。けれども、今夜はジャックが友人宅のお泊まり会でいなかった。
「じゃあ、君のオムレツに備えて、今夜は、もう寝るとしよう」
「えー?僕、練習しようと思ったのに」
「大丈夫だ。君は天才で、指導者がJJなら問題ない。・・・それよりも・・・滅多にない二人だけの時間だ」
「・・・うん。・・・そうだよね。・・・じゃあ、チェスでもする?」
「いいから。今日はもう眠るんだ」
「だって・・・ホッチが一晩中いるのに?眠っちゃうなんて・・・もったいない!!」
それを聞いて、『ああ』と心の中で思う。やはり、この天才青年は寂しかったのだな、と。そんなリードの頭をぽんぽんと叩いて、ホッチ言った。
「一晩中、抱きしめてやろう。今夜は、俺を独り占めだ」
「・・・うん・・・わかった」
独り占めの言葉が聞いたらしい。たたっとベッドに行くと、リードはシーツを替えたベッドに潜り込む。そして、半分のスペースをパンパンと叩く。
「早く!ホッチ!朝が来ちゃうよ!」
「ああ、わかった、わかった」
ホッチもベッドに入り、約束通り、リードの体を腕に抱き込む。
「いいね。・・・こういう、あったかいの。・・・好き」
「・・・すまないな・・・いつも、一人にして」
「いいの。・・・たまにだから・・・いいのかもしれないし・・・。ホッチには、ジャックのことを大事にしてもらいたいから」
そんなお利口さんの返答をして、もぞもぞと居心地のいい場所を見つける。
「・・・大好きだから・・・アーロン」
ホッチはリードの髪を撫でながら、その頭頂部にキスをして、ベッドサイドの灯りを消したのだった。
END