To The One I Love You, Mike. 02

先に果てたマイクの体を引き寄せ、胡座をかいた自分の膝の上に座らせる。もちろん、繋がったままで。

「少し、休憩だ・・・」

「・・・まだ・・・貴方の・・・中に入ってるし・・・」

「いいから」

マイクはされるがままに体重をハーヴィーに預けた。

「ハーヴィーはイかないの?」

「後で」

「僕の体・・・あんまり、良くない?」

「まさか。もっとゆっくりと楽しみたいだけだ」

「なら・・・いいんだけど」

少ししょんぼりした口調のマイクに、ハーヴィーが明るい声で話しかける。

「口を開けろ」

「え?」

「ほら。早く」

「えー・・・」

何をされるかわからない不安を感じながらも、マイクは少しだけ唇を開いた。その隙間に、何かが差し込まれる。

「ん?・・・ん?・・・チョコ・・・レート?」

「さっき行った、MarieBelleのだ」

「んー・・・美味しい。これ、中にガナッシュが入ってるね。こういうの、好き」

マイクは口の中でモグモグとチョコレートを咀嚼する。

「まだ、食べるか?」

「じゃあ・・・もう一個だけ」

ハーヴィーがベッドサイドに置いた箱の中から、綺麗な1粒を取り出し、そっとマイクの口元に運んだ。マイクは、それを素直に受け入れ、今度は口の中で転がすように味わった。口内の甘さと比例するかのように、不思議と幸福感が心の奥底から迫り上がってくる。

「俺も、もらおうか」

そう言って、ハーヴィーはマイクの顎を掴むと自分の方へと向かせ、口付ける。舌を差し込めば、完全に溶けきっていないチョコレートの甘さが、ハーヴィーにも伝わってきた。

「ね・・・ハーヴィー・・・僕・・・動いていい?」

「この態勢で動けるのか?」

「ん・・・大丈夫」

マイクは自分を抱き込むハーヴィーの腕に捕まり、ゆっくりと腰を揺らし始めた。

「あ・・・はぁ・・・」

ちょっとした刺激でも、気持ちがいいらしく、マイクの口からは甘い声が溢れてくる。

「マイク、チョコレートには幸福感をもたら脳内物質を放出させるらしいぞ」

「そ・・・なの?」

「昔から、チョコレートは恋の媚薬と呼ばれてる」

「・・・へ・・・ぇ・・・そういう文献、読んだことないや・・・今度・・・読んでみよ・・・。でも・・・だからかな・・・ヒートの時期がずれちゃったのって。だって、今日のチョコ摂取量、多いよ・・・デザートに、ホットチョコレートに・・・今の・・・チョコ。でもって、貴方のこと、すっごく欲しい・・・」

「可愛いことを言ってくれるな」

ハーヴィーはマイクの腕を静かに剥がすと、背中を押して、うつ伏せにした。そして、自分自身をマイクの中からゆっくりと引き抜く。

「ひぁっ・・・ハーヴィー・・・?」

途中で放り出されたような気がして、マイクの表情が’歪む。

「安心しろ。君の表情をじっくりと眺めたいだけだ」

ハーヴィーはマイクにキスを1つ落とすと、気づかれないように、スキンを取り去った。そして、マイクの中へと、侵入を試みる。完全に溶けきったそこは、抵抗することなく、すんなりとハーヴィーを受け入れた。マイクの顔が安心したように緩む。ハーヴィーはマイクの髪の毛を梳きながら、ゆっくりと静かに律動を始める。しかし、それは長くは続かず、次第にその抽挿は激しいものへとなっていった。

マイクの奥へと精を注ぎ込みたい。

α属性としての本能を抑えることができなかった。

今までは、マイクの仕事への情熱、そして彼のキャリアのことを考えて、その本能を抑え込んでいた。しかし、チョコレートの香りの甘さ、マイク本人から匂い立つ、蜜と花の香りが、ハーヴィーの理性を失わせている。発情したのマイクの存在が、ハーヴィーを狂わせている。

「あっ・・・あっ・・・はあっ・・・ああっ・・・」

ハーヴィーの律動に合わせて、マイクの喘ぐ声が高まっていく。その表情に辛さは全くなく、快楽にだけ、翻弄されているようだった。Ω独特の表情。しかし、それは決して卑屈なものではなかった。とても崇高で、とても美しいと思った。

「マイ・・・クっ・・・!」

ハーヴィーはその表情に煽られて、とうとう、マイクの再奥へと、白濁を放った。何度も。何度も。

ぐったりとするマイクの体を労わるようにして、ハーヴィーが体を離そうとする。しかし、マイクの腕がそれを止めた。

「・・・ハーヴィー・・・いつもと・・・違った・・・中・・・変」

「・・・悪い。実は・・・」

「わかってる。・・・感じたから・・・」

「・・・すまなかった。今の君の状態なら、間違いなく・・・」

マイクはハーヴィーの言葉を遮りように、ぎゅっとしがみついた。

「ありがと・・・ハーヴィー・・・僕、すっごく、嬉しかったんだ・・・」

「マイク?」

「本当は・・・今までも、今日みたいにしてほしいって・・・それは発情期の時が多いんだけど・・・でも、ハーヴィーが嫌がるかと思って・・・言えなくて・・・だから、今・・・すごく、嬉しい・・・」

「・・・怒らないのか?」

「なんで?嬉しいって言ってるじゃない」

「・・・君の仕事やキャリアのことだ」

「・・・それ以上に大事にしたいことって・・・あるよ?それに・・・ハーヴィーなら、事務所の福利厚生をちゃんとしてくれるだろうし・・・それよりも何よりも子どもを可愛がってくれるかなって」

「もちろんだ」

「ありがとう、ハーヴィー」

マイクからハーヴィーにキスを贈る。それを受け止めながら、ハーヴィーはマイクに問うた。

「このまま・・・もう一度・・・いいか?」

「うん。もっと、奥にちょうだい」

ハーヴィーはマイクの体を抱え直すと、再び、その熟れた体を犯し始めた。

「君は、今後、勝手にチョコレートを食べるのは禁止だな」

「えー」

「職場でチョコを食べるのは絶対に禁止だ」

「・・・キャンディーバーも?」

「ダメ」

「美味しいのに」

「食べるのは、俺の前だけにしろ」

「うー。・・・でも、すごいね。チョコレート効果ってさぁ。ヒートの時期がずれるなんて思ってもみなかった」

「きっと君の体質だろう」

「・・・そう・・・かなぁ・・・」

そう言いながら、マイクは大事そうに自分の下腹部を両手で押さえた。その上に、ハーヴィーも自分お手を重ねる。

「・・・ねえ・・・本当に良かったの?貴方の負担にならない?」

「それはこっちのセリフだ。大変なのは、君の方だろう」

「そんなことないよ。・・・幸せだもん」

「男の子だったら、ガブリエル。女の子だったら、ラファエルだな」

「うわっ、気が早い!・・・でも、どうして、天使の名前?」

「君だってそうだろう。マイケル。・・・大天使ミカエルの名だ。それに・・・きっと生まれるのは、クリスマスの頃だろうしな。ぴったりだろう」

「ふうん・・・ハーヴィー、案外ロマンティストだねー」

「マイク限定だ」

ハーヴィーがマイクに軽く口付けると、まだチョコレートの甘い味が残っている。マイクのヒートが始まったのはチョコレートのせいだと言ったが、案外自分も、このチョコレートのせいで、欲望が抑えられなかったのかもしれない。キスを与えながら、ハーヴィーはこれからの楽しくなりそうな生活のことを考えた。

END