Domestic 03

ハーヴィーがいつもの時間に目覚めると、隣に寝ているはずのマイクがいなかった。思わず、眉を顰めて、ムッとする。

マイクの可愛い寝顔を眺めたり、マイクのあどけない寝顔を眺めたり、口元に涎の跡が残っているマイクの寝顔を眺めたり、寝癖で跳ねた柔らかい髪を梳いたりするのが、ハーヴィーの毎朝の日課なのに、である。もちろん、ハーヴィーがそんなことを楽しんでいることをマイクは知らない。

ハーヴィーはベッドから降りるとリビングに向かった。ふっとコーヒーの香りが鼻腔を擽った。どうやらマイクは珍しく早起きをしてコーヒーを淹れたらしい。

リビングにいるであろうマイクに声をかけようとして、ハーヴィーは一瞬にして口を噤んだ。思わず、口元を手で押さえる。

マイクがこちらに背を向けている。服装は、常にハーヴィーが指定しているセーターとボクサーパンツのみ。キッチンカウンターで新マグカップを片手に新聞を読んでいるらしい。自然を尻を突き出す姿勢になっている。しかも、新聞の上の記事を読むために、踵を上げたり、左右の足に体重を移動させてみたり、つま先でトントンと床を叩いてみたいと、その動きに合わせて尻も動く。

まさに、眼福。

マイクの寝姿が、ルーブル美術館所蔵の「眠れるヘルマプロディートス」だとするならば、目の前で繰り広げられている光景は、パリの「ムーラン・ルージュ」だ。

ハーヴィーはニヤニヤしながら、マイクの自覚なしの痴態をじっくりと楽しんだ。ドナがいたら、確実に「ハーヴィー、それ、視姦よ!」と言うであろう。しかし、そんなドナもいないので、ハーヴィーは次の行動に移すことにした。尻の所有権を発動するためである。

足音を立てずにマイクに近づくと、ハーヴィーは手のひら全体を使って、そのボクサーパンツに包まれた尻を撫で回した。

「ひあっ・・・んっ!・・・え・・ちょ・・・ハーヴィー!!!!」

振り向こうとするマイクの上半身を、ハーヴィーは左腕だけで簡単に抑え込んだ。そして、今度は、中指だけで、布地の上から割れ目をなぞるように撫で上げる。

「ハ・・・ハーヴィー・・・やっ・・・やめてってば!」

腕の中で体を捩るマイクの言葉を無視して、双丘を交互に揉みしだいた。

「や・・・だ・・・」

セーターの襟ぐりから覗く首筋を軽く吸うと、ボクサーパンツの中に手を忍び込ませた。

「黙ってないで・・・何か・・・言ってよぉ・・・」

「ああ・・・おはよう」

「違うでしょー!!!・・・いやっ・・・あんっ」

昨夜、散々愛した場所が、ハーヴィーの指を簡単に受け入れる。十分に柔らかい中は指を動かしやすい。ハーヴィーは、指先で内部を引っ掻いたり、関節でグルリと刺激を当てたりする。

「や・・・あっ・・・やだ・・・やぁ・・・だ・・・」

内部が柔らかいのをいいことに、ハーヴィーは指の数を増やし、マイクの弱い部分だけを執拗に刺激した。

「そこ・・・も・・・やぁ・・・ハーヴィー・・・」

「どうする?指だけでイくか?挿れて欲しいか?前はどうする?」

「ふ・・・ん・・・も・・・い・・・挿れて・・・」

ハーヴィーはその返事に満足すると、マイクの耳朶を甘く噛んでやった。

マイクは床に座りこみ、ぐったりとした体をカウンターに預けた。ボクサーパンチは右足の膝に引っかかっているだけである。

「ハーヴィー・・・」

「ん?どうした?」

一緒に床にすわりこんだハーヴィーが余裕の表情でマイクに笑いかける。

「これって・・・レイプだからね・・・」

「まさか。君は嫌がっていなかった」

「嫌だったよ!いきなり触られてさ!」

「しかし、拒まなかったし、感じていただろう」

「・・・貴方に触られて、感じるなっていう方が無理!だから、そっちが加減してよ!」

「仕方がないだろう。君の尻が、触ってくれ、襲ってくれと誘うから」

「誘ってないもん!だいたい、お尻は喋んないでしょ!!」

「そうか?俺にはしっかりと聞こえたがな。うん。間違いなく聞こえた」

「それ・・・幻聴だよ!耳鼻科に行って!ハーヴィーの馬鹿っ!」

マイクはそう言うと、ハーヴィーのリネンシャツに顔を埋めて泣き出した。

「酷いよ。僕はちゃんとハーヴィーのことを愛してるのに、ハーヴィーは僕のことをモノとしてしか扱ってくれてない!」

「・・・そんなことはない。それと、泣き真似はやめろ」

「・・・ちっ。バレたか(ボソッ)」

「今、舌打ちしたか?」

「う・・・ううん!そんなことしてない!」

後が面倒なのでマイクは慌てて首を左右に振った。

「だいたいな。そういう魅力的な尻をしているのがよくないんだ」

「平均的なお尻だよ!眼科に行ってよ!もうっ!ハーヴィーの馬鹿っ!」

「そう、馬鹿馬鹿言う。さて。そろそろ出勤準備をしなくければな。時間がないから、バスルームで生尻鑑賞といくか」

「なっ・・・馬鹿!本当に、貴方、馬鹿っ!!!」

「ああ確かに馬鹿だな。君関しては、全くの馬鹿だ。マイク馬鹿とでも行ってくれ」

「・・・ハーヴィー。もう・・・脳神経外科に行って!!いやああああああ!バスルームに引きずっていかないでよ!馬鹿~っ!!!」

「あーはいはい」

適当な返事で、マイクをバスルームに引きずっていくハーヴィーだった。

今日の家庭内セクハラ

『マイクの尻はムーラン・ルージュ』

END