ハーヴィーがいつもの時間に目覚めると、隣に寝ているはずのマイクがいなかった。思わず、眉を顰めて、ムッとする。
マイクの可愛い寝顔を眺めたり、マイクのあどけない寝顔を眺めたり、口元に涎の跡が残っているマイクの寝顔を眺めたり、寝癖で跳ねた柔らかい髪を梳いたりするのが、ハーヴィーの毎朝の日課なのに、である。もちろん、ハーヴィーがそんなことを楽しんでいることをマイクは知らない。
ハーヴィーはベッドから降りるとリビングに向かった。ふっとコーヒーの香りが鼻腔を擽った。どうやらマイクは珍しく早起きをしてコーヒーを淹れたらしい。
リビングにいるであろうマイクに声をかけようとして、ハーヴィーは一瞬にして口を噤んだ。思わず、口元を手で押さえる。
マイクがこちらに背を向けている。服装は、常にハーヴィーが指定しているセーターとボクサーパンツのみ。キッチンカウンターで新マグカップを片手に新聞を読んでいるらしい。自然を尻を突き出す姿勢になっている。しかも、新聞の上の記事を読むために、踵を上げたり、左右の足に体重を移動させてみたり、つま先でトントンと床を叩いてみたいと、その動きに合わせて尻も動く。
まさに、眼福。
マイクの寝姿が、ルーブル美術館所蔵の「眠れるヘルマプロディートス」だとするならば、目の前で繰り広げられている光景は、パリの「ムーラン・ルージュ」だ。
ハーヴィーはニヤニヤしながら、マイクの自覚なしの痴態をじっくりと楽しんだ。ドナがいたら、確実に「ハーヴィー、それ、視姦よ!」と言うであろう。しかし、そんなドナもいないので、ハーヴィーは次の行動に移すことにした。尻の所有権を発動するためである。
足音を立てずにマイクに近づくと、ハーヴィーは手のひら全体を使って、そのボクサーパンツに包まれた尻を撫で回した。
「ひあっ・・・んっ!・・・え・・ちょ・・・ハーヴィー!!!!」
振り向こうとするマイクの上半身を、ハーヴィーは左腕だけで簡単に抑え込んだ。そして、今度は、中指だけで、布地の上から割れ目をなぞるように撫で上げる。
「ハ・・・ハーヴィー・・・やっ・・・やめてってば!」
腕の中で体を捩るマイクの言葉を無視して、双丘を交互に揉みしだいた。
「や・・・だ・・・」
セーターの襟ぐりから覗く首筋を軽く吸うと、ボクサーパンツの中に手を忍び込ませた。
「黙ってないで・・・何か・・・言ってよぉ・・・」
「ああ・・・おはよう」
「違うでしょー!!!・・・いやっ・・・あんっ」
昨夜、散々愛した場所が、ハーヴィーの指を簡単に受け入れる。十分に柔らかい中は指を動かしやすい。ハーヴィーは、指先で内部を引っ掻いたり、関節でグルリと刺激を当てたりする。
「や・・・あっ・・・やだ・・・やぁ・・・だ・・・」
内部が柔らかいのをいいことに、ハーヴィーは指の数を増やし、マイクの弱い部分だけを執拗に刺激した。
「そこ・・・も・・・やぁ・・・ハーヴィー・・・」
「どうする?指だけでイくか?挿れて欲しいか?前はどうする?」
「ふ・・・ん・・・も・・・い・・・挿れて・・・」
ハーヴィーはその返事に満足すると、マイクの耳朶を甘く噛んでやった。
マイクは床に座りこみ、ぐったりとした体をカウンターに預けた。ボクサーパンチは右足の膝に引っかかっているだけである。
「ハーヴィー・・・」
「ん?どうした?」
一緒に床にすわりこんだハーヴィーが余裕の表情でマイクに笑いかける。
「これって・・・レイプだからね・・・」
「まさか。君は嫌がっていなかった」
「嫌だったよ!いきなり触られてさ!」
「しかし、拒まなかったし、感じていただろう」
「・・・貴方に触られて、感じるなっていう方が無理!だから、そっちが加減してよ!」
「仕方がないだろう。君の尻が、触ってくれ、襲ってくれと誘うから」
「誘ってないもん!だいたい、お尻は喋んないでしょ!!」
「そうか?俺にはしっかりと聞こえたがな。うん。間違いなく聞こえた」
「それ・・・幻聴だよ!耳鼻科に行って!ハーヴィーの馬鹿っ!」
マイクはそう言うと、ハーヴィーのリネンシャツに顔を埋めて泣き出した。
「酷いよ。僕はちゃんとハーヴィーのことを愛してるのに、ハーヴィーは僕のことをモノとしてしか扱ってくれてない!」
「・・・そんなことはない。それと、泣き真似はやめろ」
「・・・ちっ。バレたか(ボソッ)」
「今、舌打ちしたか?」
「う・・・ううん!そんなことしてない!」
後が面倒なのでマイクは慌てて首を左右に振った。
「だいたいな。そういう魅力的な尻をしているのがよくないんだ」
「平均的なお尻だよ!眼科に行ってよ!もうっ!ハーヴィーの馬鹿っ!」
「そう、馬鹿馬鹿言う。さて。そろそろ出勤準備をしなくければな。時間がないから、バスルームで生尻鑑賞といくか」
「なっ・・・馬鹿!本当に、貴方、馬鹿っ!!!」
「ああ確かに馬鹿だな。君関しては、全くの馬鹿だ。マイク馬鹿とでも行ってくれ」
「・・・ハーヴィー。もう・・・脳神経外科に行って!!いやああああああ!バスルームに引きずっていかないでよ!馬鹿~っ!!!」
「あーはいはい」
適当な返事で、マイクをバスルームに引きずっていくハーヴィーだった。
今日の家庭内セクハラ
『マイクの尻はムーラン・ルージュ』
END