「なあなあ、グレイスが寝ちゃったから、お泊まりしてっていいか?」
「最初から、俺はそのつもりだ。ダニーだって、グレイスのお泊まりグッズを持ってきてるだろう?」
「まあね。でさ、グレイスはあんたのベッドで寝てんだよね。ということで、俺もグレイスと一緒に寝るとして、あんたはソファでいい?」
「ちょっと待て、ここの家主は俺だぞ?」
「メアリーのベッドで寝れば?」
「ダニー!」
「あははははは。うそうそ。まあ、あんたのベッドは大きいから、3人で眠れるよね」
2階の寝室へ行くと、スティーヴのベッドの真ん中でグレイスがすやすやと眠っている。
その両側にスティーヴとダニーが、自分の寝場所を確保する。
「なあ、スティーヴ。変な話ししていいか?」
「なんだ」
「こうやって3人で寝るのって初めてだよな」
「そうだな」
「でもさ、なんか、不思議とデジャヴュを感じるんだよね。こんなことがあったような気がするなーって。こうやってさ、3人で楽しく寝たことあるなーみたいな?ちょっと変な感じ。深層意識のどっかに引っかかるっているかさぁ・・・。なんなんだろうね、こういうの」
「確かに不思議だな」
スティーヴはそう返事をして、ベッドサイドの灯りを消した。そして、暗闇の中で思う。
スティーヴも幾度となく、この3人で過ごす度に、不思議な感覚を覚えることがあったからだ。
一緒にビーチで遊んでいるとき。
一緒に食事をしているとき。
一緒に買い物をしているとき。
一緒にテレビを見ているとき。
3人でいることの、安心感や喜びを、ずっと遠い昔に体験したことがあるかのような感覚。
ダニーの言葉を借りるとするならば、デジャヴュ。
今、確かに、一緒にいることの幸せを感じている。
けれども、もっと昔にも、こうやって3人で過ごしたことがあるような気がする。
そして、そのときも、嬉しくて、幸せだったことを確信している。
隣を見ると、グレイスの向こうでダニーが寝息を立てていた。
前世。
ふと、そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
もし、前世でも、3人一緒にいることができていたのなら。それは、奇跡だ。
また、現世でもこうして出会えた。
馬鹿馬鹿しいとは思いながらも、心の何処かで、その奇跡を信じたかった。
昔も。今も。そしてこれからも、一緒に。
幸せに。共に生きることを。
END