Sugar 05

22:00

トンっと、部屋に入るなり、背中を壁に押し付けられた。そして、性急なキス。

「んっ・・・ふっ・・・」

わずかな唇の隙間からなんとか呼吸をするマイク。タクシーで絡めた指から発した熱が、全身を包んでいる。けれども、ここで・・・玄関先でコトに及ぶのは如何なものかと思う。マイクは両手でハーヴィーの頰を包み、自分からようやく引き剥がした。

「・・・は・・・ハーヴィー・・・シャワーぐらい・・・浴びよ?」

「・・・一緒に?」

「・・・うん。一緒に」

「それなら歓迎だ」

抱き上げこそしなかったが、マイクの腰に腕を回して押すようにしてバスルームへ移動する。移動しながら、ハーヴィーはジャケットを脱ぎ、ネクタイも外し、マイクもそれに習った。温かなシャワーを出してから、手早く服を脱ぐと、二人同時にブースへ入った。そしてすぐに抱き合う。ハーヴィーがキスをしたまま、手探りでボディソープとスポンジに手を伸ばし泡だてる。そしてふわふわの泡をマイクに擦りつけた。泡の中で、マイクの乳首が弾かれたり、摘まれたりする。

「ひっ・・・あ・・・」

ハーヴィーの手は次第に下降し、マイクの中心を捉えた。

「あ・・・ああ・・・あ、ハーヴィー・・・」

「どうした?」

「僕たち・・・もう、1週間もセックスし続けてる・・・」

「そうだな」

「知ってたんだ」

「もちろん、わかってた」

「ん・・・だから・・・その・・・」

「どうした?」

「・・・僕・・・あんまりイけないかも」

「ああ。溜まっていないってことだな」

「・・・身も蓋もない言い方・・・」

「しかし、気持ちはいいんだろう?」

「うん・・・それは・・・ね。僕、ハーヴィーに触れられるの、好きだから・・・」

「なら、問題ない」

言いながら、ハーヴィーは丁寧にマイクの花芯をしごき始める。それは軽く勃ち上がりはするのだが、いつものような元気はない。ただ、ふるふると震えている。ハーヴィーは反対の指で、後孔を探った。ひくり、とマイクの体が軽く跳ねる。1週間も抱き続けていたせいか、そこはすでに柔らかく。ハーヴィーの指を包み込んだ。前立腺のイイところを押してやる。

「んふっ・・・くっ・・・んっ・・・やぁっ・・・」

たったそれだけで、マイクは達してしまった。ただし、白いものは飛沫のようには飛ばず、先端から、だらりと流れ落ちる感じだった。

「あ・・・やっぱ、ダメ・・・僕はもう・・・無理・・・。ハーヴィーは遠慮しないで、して?」

「遠慮をするつもりはないが・・・じゃあ、場所を変えよう。このままじゃ、君がのぼせそうだ」

ハーヴィーはマイクを抱き上げて、バスローブをばさりとかけると、寝室へと移動した。優しくベッドのリネンの上に横たえてやる。

マイクは自分の上に被さっていくるハーヴィーの肩に手を置いた。

「ねえ・・・ハーヴィー・・・僕、今日は本当にダメだから・・・その・・・好きにしちゃっていいから・・・」

「イけないって?」

「ん・・・そ・・・」

「さあ、それはどうかな・・・」

ハーヴィーは不敵に笑うと、マイクの両足を抱え上げた。別段マイクも抵抗はしない。ハーヴィーのことを愛しているから、ハーヴィーの好きなようにされてもいいと思っている。

ハーヴィーは十分に柔らかい部分に自分自身を当てがうと、ゆっくりしとした抽挿を始めた。マイクはアナルだけが、自分から切り離されたような感覚に囚われた。けれども、気持ちはいい。ハーヴィーの優しさと温かさが伝わってくる。今日で立て続けにセックスをするのは8日目だった。それでも、触れられたいと思う。自分はイけなくても、ハーヴィーが気持ちよくなってくれたら、それでいい。マイクは小さな笑顔を浮かべて、ハーヴィーの体に動きを合わせた。が、ハーヴィーの先端がある一点だけを集中的に刺激してくるようになった。・・・もう、自分はイけないのに・・・と頭のすみで思った。けれども、ハーヴィーは執拗にそこばかりを攻めてきた。そうすると、マイクの体に小さな異変が起こり始めた。体の中が、体の芯部が、火が付いたように熱くなってくる。けれども、勃起はしない。しないのに、そことは違う場所が疼く。後孔のずっと奥の、何処か。自分ではわからない場所。

「あ・・・や・・・ハーヴィー・・・変・・・変だよ・・・」

「変?何処が?」

「わっ・・・かんない・・・ただ・・・おかしいの・・・変・・・熱い・・・」

「気持ち悪いか?」

マイクは首を振った。その逆なのだ。

「あ、・・・ああああああ・・・あ、ああああ・・・」

足先がリネンを引っ掻くように動き。内股に力が入り、震える。

ハーヴィーはそんなマイクの様子を見て、ニヤリと笑うと、ぐいっと体を引き起こして自分の上に座らせ、対面になる。

「ひゃっ・・・あーっ・・・」

ハーヴィーが深く突き刺さって、マイクは思わず、甲高い声を上げた。

「あ・・・あん・・・あ・・・やぁ・・・いやぁ・・・変だよ・・・僕・・・」

奥の方から体が瘧のように震える。がくがくぶるぶると、まるで地震が起きているかのように、自分の意識とは関係なしに全身が震える。

「や・・・怖い・・・やだ・・・怖いよ・・・ハーヴィー・・・やだぁ・・・」

困ってしまったマイクは自分の手の甲や指を噛みながら、その震えに耐えようとするのだが、ハーヴィーはそれを優しく外した。

「噛むなら、俺を噛め」

「そ、そんなこと、できないよぅ・・・」

マイクは顔をハーヴィーの肩口に埋めた。震えをやり過ごそうとしたのが、上手くいかなかった。だから、ヒクッとした瞬間、思わずハーヴィーの肩を噛んでしまった。それを微笑みでハーヴィーは受け止めた。チリっとした痛みは、喜びだ。マイクが両腕でぎゅうっとハーヴィーのしがみつく。ハーヴィーもまた、マイクの体を抱きしめた。その体は、緩急をつけて、長い間、震えていた。

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「ダメ・・・触んないで・・・」

リネンに包まったマイクが、言葉と目でハーヴィーを止める。しかし、ハーヴィーは気にせずに、リネンの上からマイクを撫でた。

「いやぁ・・・んっ・・・ダメぇ・・・も・・・まだ・・・おさまってない・・・んんっ・・・」

涙目になりながら、マイクがハーヴィーを睨む。

「気持ちよかっただろう?中でイくのは」

「こんなの・・・こんな感覚・・・知らない」

「吐き出せないなら、中でイくしかないからなぁ・・・」

「・・・ハーヴィー・・・もしかして・・・これがしたくて、1週間ずっっとセックスしてた?」

「・・・」

「あ・・・図星だ。酷い・・・」

「新境地の開拓・・・というヤツだ。いいだろう」

「うー・・・。あんっ・・・もう、本当にダメ・・・触んないで・・・。まだ、体がビクビクするんだってばぁ・・・」

「もう一度、君の中に入りたいと言ったら?」

「ひっ・・・やだ・・・あんな、怖い感覚・・・本当にもう、自分で何が何だかわかんなくなるんだよ?すごく・・・怖いんだよ?」

「君の目の前にいるのは、俺だけだろう?怖いことなどないだろうに・・・」

「そう・・・なんだけど・・・さ・・・」

リネンの中でモジモジとマイクが動く。あのイキ過ぎてしまう感覚が怖いだけで、気持ちが悪い・・・というわけではないらしい。」

「・・・ゆっくりしてくれる?・・・それと、優しくしてくれる?」

「もちろんだ」

「じゃ・・・いいよ・・・」

もう、マイクはハーヴィーが触れてくるのを拒絶しなかった。体を軽く震わせながら、ハーヴィーの掌の動きに目を細める。

「ん・・・好き・・・だよ・・・ハーヴィー・・・」

震える指先で、ハーヴィーの手に触れる。ハーヴィーは優しくリネンを剥ぐと、再びマイクに体を重ねたのだった。

END