Sugar 01

6:00am

アラームも無しに、いつも通りの時間にハーヴィーは目を覚ます。ただし、この時刻はマイク時間であり、マイクがいなければ、後30分はベッドからは出ない。が、今朝はマイクが同じベッドにいるので、この時間だった。寝こけるマイクを起こさないようにベッドから出て、シャワーを浴びにバスルームへ行く。Tシャツを脱いだ時に、ふと鏡を見ると、肩に少し濁った赤色の鬱血痕があった。マイクだ。あまりの快楽に我慢できなくで、ハーヴィーの肩を噛んだ。それを見て、ニヤリと笑う。別に嫌でも何でもない。むしろ、この後バスルームで絶叫するのはマイク方だ。昨夜は、ワイシャツで隠れるどうか、ギリギリの首筋に痕をつけてやったし、今日は袖を捲ることもできないだろう。

シャワーの後で、身だしなみを整え、次にすることは朝食の支度。全て、マイクの好きなものにしてやる。家ではいつもシリアルばかりだというから、それは絶対に出さない。というか、あれは料理ではない。15分ほどで、朝食を手早く作り終えると、ハーヴィーは寝室に向かった。

さっきとは違う格好で寝ているマイク。ベッドが広くなったことで、無意識に寝返りを打ったのだろう。さて、今朝はどういう起こし方をしてやろうか。仰向けで、顔を軽くこちらに向けて、くぅくぅ寝息を立てているので、唇にキスをすることにした。ハーヴィーは片膝をベッドについて体を屈めた。薄く開いている唇を塞いでやる。面白そうだったから、鼻を指でつまんでやった。

「・・・ん?・・・んぐ・・・ん・・・・ふぐっ・・・!!!」

マイクが目を開ける。そして、握りこぶしでハーヴィーの肩を叩く。それで、ハーヴィーはマイクの口と鼻を解放してやった。

「くっ・・・苦しいじゃんっ!い・・・息できない!!!死んじゃう!!」

「生きてるだろう」

「窒息死するかもしれないってこと!!・・・もう・・・普通に起こしてよ」

「わかったわかった。それよりも、朝食ができてる。冷めないうちにどうだ?」

「ご飯?食べるっ!」

鼻を摘まれて、口を塞がれたことなど速攻で忘れて、マイクはベッドを降りて寝室から出て行った。その間にベッドメイクでも・・・と思ったら、マイクに呼ばれた。

「ハーヴィー!!一緒に食べようよ~!!」

その声を聞いて、一度は手にした枕をベッドに放り投げる。どうせ、今日はハウス・キーパーが来る日だ。任せよう。それよりも、マイクだ。

ハーヴィーも寝室を出た。

カウンターテーブルに置いた料理を、マイクはダイニングテーブルに移したらしい。

「一緒に食べた方が美味しいよ!もちろん、ハーヴィーのご飯はどんな食べ方したって美味しいけど、どうせなら最高な食べ方をしたいじゃん?」

笑いながら首を傾げるマイク。ハーヴィーは素直にテーブルに椅子に座ることで同意の気持ちを示した。

マイクはハーヴィーが作ったオムレツや、こんがり焼いたベーコン、それにサラダの野菜をトーストに乗せて、オリジナルのオープンサンドを作り上げた。こういう食べ方が好きらしい。

「おいひい!」

「食べるか、話すか、どちらかにしろ」

咎める口調でもなく、ハーヴィーは言った。プライベートにおいては、何をしてもマイクは可愛いので、許す。マイクは頬張った分を咀嚼して飲み込むと目をキラキラさせながら言った。

「今日のオムレツってちょっとだけ甘いよね?それがね、オープンサンドにしたら最高!ベーコンの塩加減とめっちゃ合う!」

「野菜が少し少ないようだが?」

「・・・た、食べるよ?ちょっと後のお楽しみに取っておいただけだもん!」

必死な言い訳が面白い。そんなマイクの様子を見ながら、ハーヴィーも自分の朝食に手を付け始めた。

「・・・!あ!!!もうこんな時間!」

もう少しで食べ終わる・・・という時に、マイクは時計を見て言った。慌てて最後のサラダを口の中に押し込む。ハーヴィーの作ってくれたものは残さない。

「早くシャワーを浴びてこい。食器は片付けておく」

「うん!ごめんね、ハーヴィー、いつも片付けさせて」

マイクは口を拭うとバスルームに走って行った。それを見送ってから、ハーヴィーは二人分の食器を片付ける。食洗機に放り込んでしまえばそれで終了だ。

ネクタイを締めて、ソファに座り、コーヒーを飲みながら新聞を読む。そうしているうちに、マイクがバスルームから出て来る。ハーヴィーの前を少々はしたない格好で通り抜け、寝室に行く。マイクの服は下着も私服もスーツも、数着はハーヴィーのクローゼットに置いてある。

「うわぁ!ギリギリ!」

「一緒に車で出勤するか?」

「それはダメ。上司と部下っていうケジメはちゃんと付けないと」

「今は上司と部下か?」

「えっと・・・まだ、ハーヴィーの部屋だから・・・その・・・えーと、まあ・・・」

ハーヴィーは指でマイクを呼んだ。それには逆らえない。

「何?」

「決まってるだろう」

「もうっ・・・本当に時間がないんだからね!」

と言いつつも、マイクはソファに座るハーヴィーに体を被せた。そして、キスをする。マイクはすぐに離れようとしたが、ハーヴィーがそれを許さななかった。しばし。角度を変えながら、舌まで絡ませる。けれども、意を決したように、マイクは両手でハーヴィーの肩を押して、体を離した。

「もう、ダメ。・・・でも、コーヒーの味をちょっと味わえたの、よかった。今日はマンデリンだね」

「正解」

「じゃ、先に行くね!また、事務所で!」

マイクはメッセンジャーバッグを斜めがけにすると、足早にハーヴィーの元を去った。

「・・・今日の午前の予定は・・・法廷だな。連れてってやるか」

ハーヴィーはマイクのいなくなった部屋で独り言ちた。

to be continued