Because it’s cold night.

冬が近くなって、気温が低くなってきた。NYの夜はかなり冷え込んできて、それでちょっとだけ飲んで温まろうと、マイクは思っただけなのだ。しかも、その日のマイクは、朝とっても慌てていて、ワイシャツの下にTシャツを着るのを忘れてしまった。たかが1枚。されど1枚。寒い。

それで、仕事帰りにマイクは馴染みのパブの寄ったのだ。ちょうどスポーツ中継をしていて、自分が贔屓にしているチームが勝っていた・・・ということもあり、少々・・・いや、かなり、飲みすぎた。とは言っても、気持ちが悪くなるわけではなく、陽気になってしまったのだ。体もアルコールのおかげで温まっている。ルンルンルーンといった心持ちで、パブを出た。そしてタクシーに乗り、ハーヴィーの住まうペントハウスの住所を告げたのだった。

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「この・・・酔っ払い」

「よってないもーん」

「そういうセリフを吐く奴は大体において酔ってるもんだ」

「だって~さむかったんだもん・・・うー・・・」

言いながら、すでにメッセンジャー・バッグとスーツのジャケットをそこらへんに放り投げたマイクはハーヴィーに抱きついた。

「うわぁ~はーゔぃーあったか~い」

やや呂律の回っていない口調で言うマイクを抱きとめながら、ハーヴィーは呆れたように小さな溜息をついた。酔っ払っても悪酔いをしないところがマイクの美点でもある。そして、結構、素直に自分の言いなりになったり、エロティックになったりするところもハーヴィーのお気に入りではある。まあ、地獄を見るのは、翌朝のマイク自身だ。

ハーヴィーはマイクの蜂蜜色の頭をポンポンとしながら、悪い笑みを浮かべていた。

「は~ゔぃ~・・・」

マイクが自分にキスをしようとしてくるのを、わざと避けてやる。

「は~ゔぃ~・・・きすぅ~」

「まずは、俺をその気にさせてみろ、この酔っ払い」

「ふぅん。・・・じゃあ・・・そこにすわってよ、はーゔぃー」

マイクはソファをビシッと指差した。そして、軽くハーヴィーの体を押す。

我慢できないこともなかったが、ハーヴィーはわざと力を抜いて、ソファに座ってやった。マイクが自分の膝に座ってくるのだろうと予想したが、それは外れ、マイクはおもむろにローテーブルの反対側に立った。つまり、向かい側のソファの前に立ったのだ。

「おさわりきんし~」

そう言うと、マイクは、にーっこりと笑って、ネクタイのノットに指をかけたのだった。

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ムーディーなジャズをかけておかなかったのは残念だった。もし、音楽があったら、このショーはもっと最高なものとなっていただろう。しかし、小さく室内に響くマイクの鼻歌も悪くはない。

そう、マイクはご機嫌で鼻歌を歌いながら、自分の体から着衣を剥がしているのだから。最初はネクタイ。解いただけで、首にだらりとかかっている。それからシャツの裾を引き出す。その時にちらりと白い腹が見えた。いつもならワイシャツの中に白いTシャツを着ているのだが、今日はそれがない。通りで、「寒い寒い」と訴えるはずだった。そんな寒さを忘れたかのように、マイクの表情は緩くなっていた。こんな顔を余所でしたら、きっと誰かに拉致されてもおかしくないような顔。マイクはハーヴィーを見ているのか見ていないのか、はっきりしない程度の薄目をしながら、体を軽く揺らしている。自分の鼻歌に合わせて。「ああ」とハーヴィーはようやく気づいた。マイクの歌い方があまりにスローすぎてわからなかったが、これは『イパネマの娘』だ。ジャズのスタンダード・ナンバー。元々はポルトガル語原詞の歌だったが、英語詞がつけられたことで世界的に広まった。アストラッド・ジルベルトのバージョンが最も有名なナンバーだ。ハーヴィーもレコードを持っている。スタン・ゲッツとのアルバム、『ゲッツ/ジルベルト』。ハーヴィーは微笑んだ。悪くない趣向だ。

マイクは両手をシャツの中に入れた。鼻歌に混じって、カシャカシャと小さな音。ベルトを外しているのだろう。その予想は当たっていて、ゆっくりとした動作で、マイクはワイシャツの陰でベルトを引っ張っている。ようやく、革のベルトを全て抜くと、マイクはソファの後ろにそれを放った。カシャンっと、バックルが床に当たる音がした。マイクは一瞬だけ鼻歌を止め、「ごめんなさい」というように、赤い舌を小さく出した。けれども、すぐに『イパネマの娘』が再開される。ハーヴィーはソファの肘掛け部分を指先で叩いた。マイクのリズムに合わせて。

マイクは今度は片手だけをシャツの中に入れた。そしてゆったりと一回転する。それからハーヴィーに向き直ると、今度は片足を軽く上げながら、スラックスを脚から抜いていく。ファサッと床に落ちたスラックスを見て、マイクは首を小さく傾げると、すぐに笑顔になって、足でその布の塊を横に蹴った。その動作で、一瞬だけ、彼のボクサーパンツが見えた。そして、マイクの鼻歌がまた止まった。

「・・・・・・はーゔぃー?ここがいい?それともちかづいたほうがいーい?」

「そこで」

即座に答える。

「わかったぁ・・・」

マイクの鼻歌が変わる。『Fly me to the moon』へと。ハーヴィーは、ジュリー・ロンドンが歌う、この曲が好きではあったが、マイクの鼻歌だっていい。そんなマイクはハーヴィーに背を向けると、ソファの上に膝立ちになった。もちろん体を揺らめかせながら。右手のひらを太腿のサイドに添わせ、じっくりと時間をかけて撫で上げるようにしていく。ワイシャツの裾に手がかかり、布地ごと手が上に上がっていけば、その脚とボクサーパンツが片側だけ露わになる。マイクは一度手を止め、指先を腰の部分の布地の中に入れ、今度は再びゆっくりと手を下ろしていった。器用に右脚を上げて、膝を軽く曲げる。するりとボクサーパンツが膝を通過して、抜ける。相変わらず鼻歌は続いていて、くるんとソファの上で体を反転させると、マイクはハーヴィーを見た。右脚だけをソファから降ろす。ボクサーパンツは左脚の太腿に引っかかっている。左手でワイシャツの裾を引っ張り伸ばすと、右手の指をワイシャツの一番下のボタンにかけた。そこで、ハーヴィーを見て口角を上げる。鼻歌を歌ったまま。2つめ、3つめと下からボタンを外していくが、シャツを引っ張っているので、肌は見えない。「なかなか焦らし上手だ」と内心ハーヴィーは感心する。とうとう、一番上のボタンまで外れたが、マイクは腹も胸も、ハーヴィーには見せなかった。

鼻歌が止む。マイクは、微笑みながら、ハーヴィーを見据えた。

「・・・ねえ・・・?そのきに・・・なったぁ・・・?」

「そうだな・・・もう少しだな」

ハーヴィーも笑って答える。

「・・・だじょーぶ?はーゔぃー・・・かれてなぁい・・・?ふふふ」

「失礼な」

それでもマイクはローテーブルを周り、ハーヴィーの目の前に立った。無意識に上がったハーヴィーの手を、マイクが軽く、しかしピシャリと叩いた。

「だぁめっ!・・・おさわり~きんし~きゃはははっ」

そんなことを言いながら、マイクは右膝をローテーブルに乗せて、腰をハーヴィーの方へと突き出す。黒い靴下を履いたままの足が可愛らしい。そして、肩越しに笑ってハーヴィーを見ながら、スルッとワイシャツの裾を右手で捲ったのだった。眼前に現れた白い尻たぶにハーヴィが口づける。

「あー・・・おさわりきんしったのにー」

「その気になたんだから、いいだろうが」

「・・・そ、なの?・・・そのきになったの?・・・ふふっ・・・やったぁー」

そんなことを言っている間にハーヴィーに体を掴まれて向き合う形にさせられる。マイクは素直にハーヴィーの膝の上に跨った。

「・・・もっと、よく見たいな、マイク」

「えー・・・はーゔぃーのえっちぃ・・・んー・・・」

マイクはしばし考えると、ハーヴィーの膝に尻を乗せたまま、膝を軽く立てた。

「ねえ・・・せなか・・・ささえてて・・・」

ハーヴィーが両手をマイクの膝に添えた。マイクはその手に体重をかけるようにして体を外らせる。そして、男のわりには柔らかくしなやかな体、その両脚を膝を上げて持ち上げてハーヴィーの腕にひっかけた。そして自分の膝裏を掴む。所謂M字開脚だ。さらりとワイシャツが両側に分かれる。そうして、ようやく、マイクの白い素肌が露わになった。酒のせいか、自分のやった行為のせいか、既にマイクの中心は軽く昂まっている。

「いやらしい体だな」

「・・・む~・・・はーゔぃーだって、ひとのこといえないとおもうけどぉ~」

それはそうだった。ハーヴィーの膨らみが、マイクの尻に当たっているからだ。

ハーヴィーはマイクの体をもう一度じっくりとみると、それから腕に力を入れて、ぐいっと自分の方へと引き寄せた。自然と、マイクの顔がハーヴィーの肩口に当たる。

「んふふ~・・・そのきになったぁ?」

「ああ・・・十分に」

「じゃあ、もっとそのきにさせてあげるぅ~」

マイクはハーヴィーの膝から降り、自分の体をハーヴィーの足の間に潜り込ませた。そして、スラックスの上から、その股間に鼻を近づける。

「ふふっ・・・めっちゃ、こい、においがする・・・」

「おい。まだ、シャワーを浴びてないぞ」

「いいの。ぼく、このにおい、すきだから。んーっと・・・ああ・・・こういうの『おすのにおい』っていうんだよ・・・」

うっとりとした口調で言いながら、ハーヴィーのベルトを外す。そして酔っているわりには手早い動きでスラックスの前を寛げて、既に凶暴になりつつあるハーヴィーを取り出した。

「あ、においがこくなったぁ・・・」

嬉しそうに言いながら、顔を近づけてくるマイクの頭を手で押しとどめる。

「マイク、ストップ」

「やぁだっ・・・そのきになったんでしょ?これ、めっちゃ、そのきになってるよ?」

「シャワーの後でもいいだろう」

「いーまーっ!いまがいいのっ!」

マイクは自分の頭に乗っているハーヴィーの手を払いのけると、むぐっと口に含んだ。そう、一気に根元近くまで。

「マイクっ!」

「んーんっ!」

ハーヴィーの制止を拒否すると、クチュクチュを音を立てながら、マイクはしゃぶり始めた。その様子にハーヴィーを諦めたのか、天を仰ぐように顔を上に上げた。

・・・正直、悪くない。ハーヴィーは止めるためではなく、あやすような仕草で、マイクの蜂蜜色の髪を指先で梳いてやる。

「んぐっ・・・んっ・・・んんっ・・・」

次第に凶暴さを増すハーヴィーに、マイクはうめき声をあげる。けれども、口を離すことはしなかった。ハーヴィーの濃い雄の匂いに、マイクの頭が軽くクラクラする。それと同時に、後ろが疼く。本当はこの硬直した雄を後ろに欲しい。今すぐにでも突いて、突き上げて欲しい。けれどもマイクは、口はしゃぶることに専念し、そっと自分の指を後ろに回した。そして入口をするりと撫でると、すでに汁が出ている自分の先端を指先で触って濡らしてから、クッと指を中へと入れ、動かし始めた。

「マイク、もういい。離せ。離れろ」

「んーんっ」

マイクは小さくを首を振りながら、ハーヴィーをキツく吸い上げた。自分の後ろを弄りながら。

「くそっ・・・」

マイクの口腔の熱さ、その舌遣いに、ハーヴィーは限界を極めた。マイクの髪の中の指先に力を入れ、マイクの口の中に吐き出す。マイクは口を離すことなく、ゴクリと喉を鳴らしながら、全てを飲み込んだ。飲み込んでも、ハーヴィーを離すことはせずに、舌を使って丁寧に舐める。完全に綺麗にしてから、ようやくマイクは口を離した。

「無理するな。馬鹿」

「はぁ・・・だって・・・はーゔぃーのすーつ・・・たかいから・・・あっ・・・あんっ・・・」

びくんっとマイクの体が跳ねる。ハーヴィーはどうしたことかとマイクを観察する。すると、彼の手が後ろに回っていることに気づく。ふわりとした表情をしているのは、自分で自分を慰めているからだ。ハーヴィーは眉を潜めた。これは面白くない。

「マーイク」

そう名前を呼ぶと、ハーヴィーはマイクの脇に両手を入れて、持ち上げた。そして自分の膝の上に乗せる。その動きで、自然にマイクの指は後孔から抜けてしまった。

「それは、俺の領分だろう?」

「・・・はーゔぃー・・・してくれるんの?」

「ああ。十分その気になったからな」

ハーヴィーが唇を寄せたが、マイクはすっと顔を背けた。

「マイク?」

「・・・はみがきしてからのほうがいくない?」

「今更だろうが。君の体で汚いところなんて、何処もないからな。ほら、腰をあげろ。突き上げてやる。それが望みだろう?ん?」

「・・・ん・・・そ・・・そうなの・・・はーゔぃーはなんでもしってる・・・しゅごいねぇ・・・」

ハーヴィーの手に促されて、マイクを腰を上げた。その瞬間に、的確に真下から突き上げられる。

「はぐっ・・・くっ・・・んっ・・・んぁ・・・」

小さな叫びをあげたマイクの唇をハーヴィーが塞いだ。そうして、そのままマイクの脚を抱えてソファから立ち上がる。

「んうっ・・・」

「続きはベッドでだ。たっぷりと温めてやるから」

ハーヴィーは不敵に笑うと、そのままスタスタと寝室へと歩いていった。マイクと体をつなげたまま。

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体を繋げたまま、器用にマイクをベッドに押し付ける。体の中で当たる角度が変わったせいか、マイクは感じ入った声を上げた。ワイシャツの袖のボタンを外していないせいで、腕が少々窮屈そうだったが、ハーヴィーはそのままにして、指と指とを絡め繋いだ。黒い靴下を履いたままのマイクの両足が宙に浮く。

「ひゃ・・・あ・・・」

はだけたワイシャツの中の肌は蒸気していて、胸の飾りも軽くぷくりと立ち上がっていた。触ってもいないのに。ハーヴィーは体をマイクの太腿裏に押し当て、舌先を濃い桃色の突起に伸ばした。そして、舐め上げる。

「ふっ・・・んっ・・・あっ・・・やっ・・・」

舌で舐め、歯で甘噛みし、唇で摘まみ上げる。そんなことを繰り返していると、マイクの腰がもぞもぞと動き出した。もっと刺激が欲しいときの動きだ。けれどもハーヴィーは一度顔を上げてマイクを見ると、ニヤリと笑って言った。

「片方だけじゃ、バランスが悪いな」

確かに、弄った方の乳首だけが腫れ上がっている。

「はーゔぃー・・・やだぁ・・・がまん・・・できないよ・・・」

「何が?」

「う・・・うごいてよ・・・ねぇ・・・おねがい・・・・ねぇ・・・」

もう、泣きそうな声になっている。

「ああ、動いてやるさ。バランスが整ったらな」

「んー・・・」

不満な呻き声をあげるマイクを放って、ハーヴィーはもう片方の胸に唇を寄せた。さっきと同じように、舌で舐め、歯で甘噛みし、唇で摘まみ上げる。その間も、マイクはハーヴィーの下で体をもぞもぞと動かしていた。自分が欲しい快感が得られないもどかしさ。

「いじわるー・・・はーゔぃーの・・・いじわるー」

「ふん。酔っ払って、押しかけてくるからだ」

「だって~・・・ふえ・・・やだぁ・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・はーゔぃー・・・ごめんなさい・・・ぼくをきらいにならないで・・・」

意外な台詞にハーヴィーが慌てる。胸を弄ぶのをやめてマイクの顔を見ると、泣きそうな顔になっている。自分が子犬のような部下を、恋人を、嫌いになるわけもないのに。けれど、こんなマイクの表情を見ると、「苛めすぎたか」、と反省は軽くする。

ハーヴィーはマイクの体を折りたたむようにしてのしかかり、その耳元で囁いた。

「君を嫌いになったりはしない。たとえ、酔っ払って部屋に押しかけるような人間であってもな。君なら大歓迎だ。・・・それよりも、余所の変な人間の所に行ったり、酒の勢いでふらふら付いて行ったりする方が大問題だ」

「そんなこと・・・しないよぅ・・・ぜったい・・・しない・・・んぅ・・・」

「それなら、いい。・・・さて。これからどうして欲しい?この酔っ払い」

「ふっ・・・あ・・・も、もっと・・・ふかいところ・・・ずっと・・・おくのほう・・・ずんずん・・・して・・・」

「ああ、いいだろう・・・」

ハーヴィーは繋いでいた指を外し、マイクの黒い靴下を履いたままの両足を掴んだ。膝を伸ばすようにして、腰を上げさせる。そして、ほぼ垂直に、マイクの体の中に自分自身を押し込んでやった。何度も、何度も。

「ひぐっ・・・う・・・あっ・・・あ・・・いい・・・はーゔぃー・・・もっと・・・おく・・・もっとぉ・・・」

マイクの指がリネンを掴む。ハーヴィーの肩あたりに支えられていて、膝を曲げることができない。宙で、黒い靴下に包まれた足が揺れるのが視界に入る。

ぐずぐずになっている自分の体を、ハーヴィーがもっとぐちゃぐちゃにしているような感覚がある。もう、お腹の中がめちゃくちゃに壊されているような感覚。けれども、それが心地良い。もっと、mもっと、壊して欲しいと思う。だから、マイクは叫ぶように言ったのだった。

「はーゔぃーっ・・・もっと!こわれていいから・・・もっと・・・ついてぇっ!!!」

その言葉に満足げに頷くと、ハーヴィーはマイクの片足に鬱血痕を残すほどにキスをすると、その律動をもっと深くしてやったのだった。

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翌朝。

ハーヴィーがキッチンでコーヒーを淹れて寝室に戻ると、ベッドの小山は動いてはいなかった。小山は小山のままだ。いや。微かに震えているような気はする。

「マーイク」

「・・・・・・」

ハーヴィーはマグカップをサイドテーブルに置くと、こんもりと盛り上がったリネンに手をかけた。しかし、剥がそうとしたリネンは剥がれず、ますます、ぎゅうっと小山は小さくなった。

フォトグラフィック・メモリー。マイクは一度頭に入れたことは絶対に忘れない。そしてそれは、自分の行動に対しても同じだった。酒の抜けた今、この小山を作っているマイクは昨夜のことをありありと思い出しているのだろう。忘れたくても忘れることのできないこと。

ハーヴィーはリネンを剥ぐことを諦め、その代わりに小山をぽんぽんと優しく叩いてやった。

今日は仕事が休みでよかった。おそらく、昼ぐらいまでは、小山となって自己嫌悪に陥っていることだろう。しかし、空腹に勝てるマイクではない。

「マイク。ランチをご馳走してやるから。昨日のストリップのお礼に」

その言葉で、小山がますます小さくなった。

「まあ、昼までは、小山になってろ。しかし。昼になったら、容赦無く、リネンを剥ぐからな」

そう言って、マイクの分のマグカップだけを残して、ハーヴィーは居間へと戻った。そして、ソファに座り、新聞を読み始めた。昼に、顔を表すであろう、マイクの表情を想像しながら。

END