眼鏡上司と夏のうさぎ

「ハーヴィ~!喉が渇いた~!何か飲ませて~!」

ドアの閉まる音とともに、マイクの声が室内に響く。ようやくルイス案件を終えて帰ってきたか、とハーヴィーは笑った。自分は残業はさせなかったが、マイクが帰ろうとしたところをルイスに捕まった瞬間は見ている。ハーヴィーはそれをスルーしてさっさと自分のペントハウスに帰ってきた。ただし、マイクが自宅に帰らないように、マイクのデスクにはメモをおいてはおいた。

「冷たい飲み物を用意しておくから、家に来い」

と。

事務所内はエアコンが効いているから快適だが、一歩外に出ると、天気予報通り暑い日だった。

「マイク、ビールを冷やしてあるから、先にシャワーを浴びて汗を流して来い。着替えは後で持ってくから」

「ありがとう~・・・って・・・ハーヴィー・・・眼鏡かけてる・・・」

嬉しい反面、これまでの経緯から、マイクは警戒した。メイド服。うさぎ耳。ナース服。ハーヴィーが眼鏡をかけるともれなく自分は何かコスプレをさせられる。今の所、警戒レベルは黄色だ。

「・・・ハーヴィー・・・着替えって・・・何?」

「心配するな、ただのTシャツとパンツだ」

ハーヴィーはソファの上に畳んで置いておいたTシャツとパンツを持って見せた。確かに、薄いピンクの布とパンツっぽい。素材も、レースではない。マイクは少し胸をなでおろした。やっと、ハーヴィーも普通の人間になってくれたかと。

「じゃあ、お言葉に甘えて、シャワーを浴びてくる」

マイクはジャケットとネクタイと、ポーンとソファに放り、革靴も脱いでパタパタとバスルームへと走って行った。ハーヴィーは、マイクが脱ぎ捨てたものを片付けると、さっきマイクにちらりと見せた衣服を持って、キッチンに寄ってから、バスルームに歩いて行った。

「カラスの行水か?」

「そんなことないよ。ハーヴィーんとこのシャワーは水圧が高いから、早く済むの!それよりも早くビールが飲みたーい!!」

「持ってきた」

ハーヴィーが腰にバスタオルを巻いたマイクにビールを差し出す。

「え?凄い!ハーヴィー、めっちゃ気が利く!今日の眼鏡ハーヴィーは普通でよかったぁ」

ビールを受け取ろうと手を伸ばしたが、ハーヴィーはスーッと遠ざけてしまった。

「あ、ハーヴィーの意地悪!焦らさないでよ!」

「Tシャツぐらい着ろ。外は暑いが、部屋の中はエアコンが効いているんだから、冷えるぞ」

「はーい」

マイクがハーヴィーから受け取ったピンクのTシャツは、背中にうさぎのロゴが入ったPLAYBOYのものだった。

「・・・ハーヴィー・・・うさぎ、好きなの?」

先日のうさぎ耳とジェラピケのフワモコルームウェアのことを思い出してマイクが問う。

「うさぎの格好をしたマイク・ロスは好きだな」

「まあ・・・PLAYBOYのTシャツぐらいなら、いいけど・・・」

マイクはTシャツに袖を通し、もう一度、缶を受け取るべく手を伸ばした。今度は、ハーヴィーも素直に渡してくれる。

瓶の蓋を開けて口をつける。ビールはものすごく冷えていて、外の暑さとシャワーの熱さで火照った体に気持ちよかった。体がビールを染み込むスポンジのような感じがする。

一気に飲み終えて、大理石の洗面台に瓶をおいて、マイクは「ふぅ~」っと息を吐いた。

「美味かったか?」

「最高。2本目は涼しい部屋で飲みたい」

マイクはグレーの下着を履こうと、洗面台に端においてある下着に手を伸ばした。そして、広げて言葉を失う。・・・トラップはここにあった。

「・・・ハーヴィー・・・?何、これ・・・」

「下着」

「なんで、うさぎの尻尾が付いてんの、これ。そして、なんで、サイドが紐なの!!??」

「まあ、そういう下着だからな」

「騙されたっ!!!!!レースじゃないから、普通のボクサーパンツだと思ったのに!!」

ハーヴィーはご丁寧に、尻尾とサイドの紐が見えないように、畳んでおいたのだ。

「履かないからね」

「せっかく、仕事で疲れた君を、眼鏡とビールで癒してやってるのに」

「う・・・」

「それに、そのTシャツは普通のメンズだ。コスプレには入らない。しかし、俺は眼鏡をかけている。・・・イーブンじゃない」

「う・・・」

「まあ、君がそういう態度なら仕方がない。俺は眼鏡を外して、居間で寛いでいる。君は勝手にしろ」

そう言いながら、ハーヴィーがバスルームを出て行こうとする、その腕をマイクが掴んだ。

「寂しいから、そういう言い方はしないで。・・・わかった。履く。・・・履けば・・・いいんだよね?もうこれ以上は・・・ないよね?」

そんな問いをするマイクに、ハーヴィーは満面の笑みを浮かべて、後ろ手に隠しておいたうさぎ耳カチューシャをさっと取り出したのだった。

「・・・・・・もう・・・最低・・・」

マイクはがっくりと項垂れた。

そして、2人はまだ、バスルームにいる。お尻にうさぎ尻尾の付いた、紐パンティを履いたマイクは、鏡を背にしてハーヴィーに体を揺さぶられていたからだ。PLAYBOYのTシャツは、胸の下辺りで結ばれてしまっていて、可愛らしいうさぎの尻尾が綺麗に鏡に映っている。そう。ハーヴィーは下着を脱がせず、ずらしただけで、片足を上げさせたマイクの中に侵入したのだ。不安定な体を支えるようにして、ハーヴィーはマイクの腰と足を掴んでいるし、マイクもまた、両腕をハーヴィーに絡めて姿勢を維持している。

「あっ・・・あっ・・・あっ・・・」

直接的な刺激を与えられているわけではないが、パンティ越しに勃ち上がった自分が、ハーヴィーの腹に当たって気持ちがいい。もちろん、立ったまま抉られている奥も熱をもっている。もしかすると、NYの屋外よりも暑いのかもしれない。

「ああっ・・・ハーヴィー・・・もっと・・・もっと深く・・・欲しい・・・」

「だったら、ちゃんと掴まってろ」

そう言って、ハーヴィーはマイクのもう一方の太腿裏を掴み、体を持ち上げてしまった。

「やっ・・・あああっ・・・深いっ・・・」

自分の重みで、繋がりが深くなり、またより一層体を揺さぶられる感覚の意識が朦朧とする。それでもマイクは落ちないように、両足をハーヴィーの体に巻きつけ、また両腕もしっかりとハーヴィーの肩辺りを抱くようにして絡めて掴まった。

「あっ・・・ああっ・・・はっ・・・あっ・・・はぁっ・・・あっ・・・」

ハーヴィーはマイクの中の熱さも楽しんでいるが、それとは別に、鏡の中で揺れる、マイクのうさぎ尻尾とうさぎ耳を楽しんでいた。視覚に訴える楽しさだ。仕事では犬的な側面をよく見せるマイクだが、やはりうさぎ姿も可愛い。

「ああっ・・・だめっ・・・ハーヴィー・・・イっちゃう・・・」

「いいぞ?遠慮するな」

「ハーヴィーは?」

「ああ・・・そうだな・・・俺も君の中でイキたい」

「じゃ・・・一緒にいこ・・・」

そんな可愛い台詞を吐いて、マイクがぎゅっとしがみついてくる。ハーヴィーは、より一層マイクの体を激しく揺さぶり、可愛いうさぎの恋人を追い上げながら、自分もまた登りつめていった。

「・・・ハーヴィー・・・貴方、この下着を一体何枚買ったの・・・?」

ベッドの上でマイクが呆れた声を出す。バスルームではグレーのうさぎパンティだったが、マイクが放ったものでぐっしょりと濡れてしまったので、ハーヴィーが新しい下着を出してくれたのだ。さっきのとは色違いのうさぎパンティを。今度は薄いピンク色だ。PLAYBOYのTシャツとコーディネートしてると言えば、そう言えなくもない。しかし、ハーヴィーはどうやってこれを手に入れたのか。

「基本は黒・白・グレーの3色展開だ。ちなみにそのピンクは期間限定販売のものだ。あと1日気づくのが遅かったら、手に入らなかった色だな。ああ、それと、通販だから」

マイクの疑問を読み取ったかのように、ハーヴィーが付け加えて言った。しかし、通販だから、いい・・・という問題ではない。ますます、ヤバイものを通販で手にれそうで、マイクはそれが怖かった。それにしても・・・。

「この下着の存在・・・どうやって知ったのさ」

「ドナとレイチェルとカトリーナがキャッキャとPCを見て騒いでたから、URLを暗記した」

「・・・そういうことに暗記力を使わないでよっ!」

うううううう・・・と情けない嗚咽を漏らしながら、マイクは呆れる。ちなみにベッドの上で、ハーヴィーに背を向けてあひる座りをしている。もとい、させられている。ハーヴィーがうさぎの尻尾を見たいからだ。だから、マイクはさっきから首を捻ってハーヴィーと話をしているのだ。いい加減、首が疲れてくる。それでも、眼鏡姿を見たいから仕方がない。しかし、バスルームでの疲れも手伝って、マイクはぽふんとベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。形のいい尻が、綺麗な丘陵を作っている。そこにはふわふわピンクのうさぎの尻尾。可愛いことこの上ない。

ハーヴィーはマイクに体重をかけないようにして、覆い被さった。

「ん?何?ハーヴィー?」

「ベッドの上だ。決まってるだろう」

ハーヴィーは左腕をマイクの腹に回し、引き上げるようにして腰を上げさせた。ハーヴィーの意図を察して、マイクは下着のサイドの紐に手を伸ばそうとした。が、それはすぐに阻まれた。

「解くな」

「え・・・まさか・・・また、履いたまま?」

「それがうさぎ尻尾の醍醐味だろう。さっき、バスルームの鏡に映っていた君の尻はなかなか魅惑的だったぞ」

「うわっ・・・そんなの見てやってたの!?・・・やっぱり、ハーヴィーって眼鏡をかけると変態さんになるんだね・・・」

「まあ、なんとでも言え」

ハーヴィーは尻尾のついたピンク色のパンティをずらすと、指を尻の割れ目に添わせ、その窄まりを突いた。

「んあっ・・・」

マイクの口から甘い声が漏れる。さっきまで自分を咥え込んでいたそこは、柔らかく、熟している。

「すぐに挿れても大丈夫か?」

「いいんだけど・・・これじゃあ、貴方の顔が見えない。せっかく眼鏡をかけてるのに」

「俺は君の尻についている、揺れ動く尻尾が見たいからな。・・・ああ、じゃあ、こうしよう。今度外でデートをしよう。その時に眼鏡をかけてやるから。どうだ?」

「・・・それ、捨てがたい。あ!でも、お出かけするなら、コスプレはナシだよね!?ちょっとそこをきちんと確認しておきたいんだけど!!」

「安心しろ。君には普通の格好をさせるから」

「なら・・・いい」

眼鏡ハーヴィーと外でデートするのも、なかなか魅力的な申し出だった。マイクは、腕と膝の位置を調整して、ハーヴィーを受け入れやすい姿勢をとる。

「積極的だな」

「でも、後でいっぱい、ハーヴィーの顔を見せて。そして、いっぱいキスして」

「わかった」

ハーヴィーはパンティをずらすと、すぐさま熟れたそこに、自分を押し込んだ。そして律動を始める。

「あっ・・・んっ・・・んっ・・・あんっ・・・」

十分に柔らかくなっているマイクの内部は、程よくハーヴィーを締め付けて離さない。マイクの体を突き上げながら、その動きに合わせて揺れるうさぎの尻尾を眺める。まるで、動物の交尾のようだった。ハーヴィーはグッとマイクの腰を引き寄せて、よりいっそう、深く繋がり、揺さぶった。

「ああ、やっぱり、白もいいな」

結局、脱がせてもらえなかったパンティの中に吐精してしまったので、本日3枚目のうさぎちゃんおパンティに履き替える羽目になったマイクである。今度は白だった。

「ハーヴィー、約束」

ハーヴィーの膝に跨ったマイクが、腕を相手の首に絡めながらキスを強請る。ハーヴィーは左手でマイクの顎を掴むと唇を喰むようにして、キスを与える。空いた右手は、マイクの尻やら尻尾やらを触っている。

「ハーヴィーはうさぎ派なの?」

キスの合間にマイクが尋ねる。

「いや・・・単なるうさぎマイク派。しかし、君がなるなら、犬でも猫でも可愛いだろうな」

小さな会話をしながらキスをするのは結構楽しい。マイクは眼鏡をかけたハーヴィーの顔を見ながら、さっきハーヴィーが言ったデートについて考える。何処に連れて行ってくれるのか、それとも行き先をリクエストしていいのか。そんなことを考えるマイクとは裏腹に、ハーヴィーは、『あと、黒いのが残ってるから、この白いパンティも汚してしまっても構わないな』などと思いながら、悪戯な形のいい指先を、下着の中へと侵入させていったのだった。

END