ハーヴィーはキッチンの冷蔵庫からミネラル・ウォーターを取り出し、グラスに注いでから喉を潤した。それから、マイクの分はどうしようかと考えたら、小さなペットボトルの水を持って行ってやることにした。再び冷蔵庫を開けて、ペットボトルを手にし、それを持って寝室に向かった。そして、入り口で立ち止まる。
マイクはベッドにうつ伏せで寝ていた。精液で濡れたショートパンツはすでに脱いでいるので、白い形の良い尻が露わになっている。そんなマイクの寝姿を見て、ハーヴィーは口角を上げた。少し立つ位置を移動する。真横から見るのもいいが、斜め後ろから見るのもなかなかいい。それなら、真後ろからはどうだろう・・・とハーヴィーが移動しかけた時、マイクが呆れたような声を出した。
「・・・ハーヴィー・・・さっさと僕に水をちょうだいってば」
気づかれていたか・・・と思いながら、ハーヴィーはベッドに近づき腰掛けた。
「起きられるのか?」
「起きる・・・でないと、水が飲めないじゃん・・・もう・・・ハーヴィーったら加減してよね」
ぶうぶうマイクが文句を言う。まあ、それも可愛らしいので、気にならない。
最初は主導権を握っていたマイクだったが、次第に体をハーヴィーのいいように揺らされ、下から突き上げられたのだ。自分で調整したくても、恋人繋ぎをした指をハーヴィーは離してはくれず、指から伝わってしまう感情を読み取られて、すっかりといいように抱かれたのだ。良いところを責められたと思ったら、すっと外されたり、もっとして欲しいのに、わざと焦らされたり。それで、マイクは体どころか、神経まで疲れてしまった。それで、ベッドでぐったりしている・・・という状態だった。
緩慢な動作で、マイクが腕をベッドに付いて起き上がろうとするのを、ハーヴィーの腕が手助けした。
「ん・・・ありがと、ハーヴィー」
ペットボトルを受け取ろうと伸ばして手を、グイッと引かれる。力の入らない体は、すっぽりとハーヴィーの胸に寄りかかる。そんなマイクの顎に指がかけられ、上を向かされると、すぐに口を塞がれる。そして、口内に冷たい水が広がる。マイクはそれを嚥下した。それが数回。マイクは、そっと両手でハーヴィーの胸を押した。
「・・・普通に飲ませてよ・・・もう・・・」
「いいじゃないか」
眼鏡の奥の瞳が笑った。その笑顔に、マイクは勝てない。勝てっこなかった。やっぱり、眼鏡をかけたハーヴィーが好きだ。いつものハーヴィーとは違う意味で。
「まだ、飲むか?」
「ううん。もういい」
そう言って、マイクが、ぽてんとベッドに横たわった。片手でパーカーの裾を引っ張る。
「隠すなんて・・・今更だろう」
「やだよ。・・・恥ずかしもん。・・・この耳だって・・・靴下だって・・・」
「その割には、外さないし、脱がないよな」
「・・・だって・・・ハーヴィーの眼鏡はもっと見てたいもん」
「そうか。だから、いい子なのか」
ハーヴィーはペットボトルをベッドサイドに置いた。そして、パーカーのファスナーに指をかける。そして、ゆっくりと下に下ろした。マイクがパーカーの裾を引っ張っているので、下ろしやすい。
「何?脱いでいいの?」
「いや・・・ここまでだ」
ハーヴィーは途中で止めると、唇をマイクの胸に寄せた。舌先で、胸の飾りを転がす。
「あ・・・ん・・・」
弄られているのは胸なのにもかかわらず、体の中心にずんっと響く。ソファでのセックスで、マイクの体はだいぶ感じやすくなってしまっている。引っ張ったパーカーの中で、自分が反応し始めているのがわかる。後ろも疼いているのを確実に感じる。ベッドの上でも繋がりたいと言ったのはマイクだ。やっぱり・・・欲しい。
「ハーヴィー・・・」
マイクはパーカーの裾から手を離すと、両腕をハーヴィーの首に絡めた。そして、言う。
「ねえ・・・ハーヴィー・・・ちょうだい?」
ハーヴィーの耳元で囁くように。そして、ハーヴィーの耳朶を軽く噛んだ。
「ああ。いくらでも。・・・約束だしな」
ハーヴィーはマイクの両足を抱えた。いつもより、高く。ふわもこのニーハイソックスで包まれた足は、ハーヴィーの肩にかけられる。その分だけ、体を折りたたまれる格好になる。足が開かれ、それに伴って、後孔も開く。
「ハーヴィー・・・早く・・・ちょうだい・・・」
甘えたように呟くマイクの声に、ハーヴィーの気分も良くなる。欲しがられる。それと同様に、自分もこの体が欲しい。どんなに抱いても、飽きない。むしろ、抱き足りない。・・・それは、愛しさからくる、衝動にも似た思いだった。
ハーヴィーは舌で唇を湿らせると、クッと切っ先をマイクの中に潜り込ませた。かなり解れているそこは、難なくハーヴィーを受け入れる。内壁をひくつかせながら。
ハーヴィーはほぼ真上から、垂直に、マイクの中に押し入った。深く。再奥を求めて。
一度、ゆっくりと全てを押し込むと、ゆっくりとギリギリまで引き抜いた。それを何度も繰り返す。ゆっくりと。焦らすように。
「やっ・・・だっ・・・もっと・・・もっと・・・ねぇ・・・ハーヴィー・・・突いて・・・もっと・・・」
緩慢な動きに焦ったくなって、マイクが求める。首に絡めた腕を自分に引き寄せ、マイクはハーヴィーに口付けた。そして、少しだけ離れた唇の間から、吐息を漏らしながら、強請る。
「ハーヴィー・・・もっと・・・激しくして?」
甘えた声で、ハーヴィーを煽る。それを拒否する理由などなかった。
「覚悟しとけよ」
「いつだって・・・覚悟してるよ?」
ふふっと笑うマイクに、ハーヴィーも笑い返した。そして、全体重を真上からかけるようにして、犯し始めた。スピードをあげて、リズミカルに。
「ひゃっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・」
体を押し潰されるほどに、体重をかけられる。
「あ・・・あ・・・深い・・・ああ・・・ハーヴィー・・・深くて・・・熱い・・・奥が・・・焼けそう・・・ああ・・・」
いつも擦られる内壁のずっとその奥。もう、行き止まりのあたりをグッグッっと押し突かれる。けれども、それはマイク自身が望んだことだった。押し潰されそうな体。けれども、深く侵されることで、より体の深部で、ハーヴィーを感じることができる。愛しい。恋しい。好き。愛してる。深く。誰よりも、何よりも。大事・・・。大切な人。
ハーヴィーの動きの激しさに、頭が揺れる。それと一緒に、ふわもこのウサギの耳も揺れているのだろう。この前はメイド服。今日はウサギ。今度はチアガールって言ってたっけか。でも、今はそんなことはどうでも良くなっている。ハーヴィーの肩にかけたふわもこの足が、空中で揺れる。それをハーヴィーの頭の向こうに見ながら、マイクの意識が朦朧としてくる。思考が飛びそうだった。いや、いっそ飛んでしまえばいいと思う。ずんずんと奥を突かれて、もう、全てがどうでも良くなる。ただ・・・ハーヴィーにさえ愛してもらえれば、それでいい。メイドでもウサギでもチアガールでも、なんだっていい。・・・捨てないでくれさえすれば。・・・眼鏡の奥の濃茶の瞳が、ずっと自分を見続けてくれるのであれば。
ハーヴィーの吐息も荒くなってくる。マイクの絶頂も近い。
ハーヴィーはマイクを見て、ふっと笑った。マイクも微笑みを返した。
最後に激しく強く、己をマイクの内部に叩きつけると、マイクが一際、甘く、高い声えで、鳴いた。
「しばらくしたら、可愛い仔ウサギがたくさん産まれるかもしれないな」
ハーヴィーが可笑しそうに言った。
「何、言ってるの。そんなわけ、ないじゃん」
「そう言うな。生命の神秘を侮ってはいけない」
「僕は人間なの!」
「そうだったか?こんなに可愛い耳を付けているのに?」
「むぅ・・・・・・もう、いいよ。ウサギでも・・・。ウサギの赤ちゃんがいっぱい産まれたら、ちゃんと責任をとってくれるんでしょ?」
「ああ。もちろん、認知するぞ」
「平均で8匹くらい産まれるらしいよ?」
「最高で10匹っていうのを聞いたことがあるぞ」
「名前をつけるのが大変だ・・・」
「育てるのもな」
「このペントハウスじゃ大変」
「それなら郊外に家を買うか。庭付きで広い・・・」
「ふふっ・・・嬉しいけど・・・それってハーヴィーっぽくないよ」
「君には似合いそうだな」
「そお?」
ハーヴィーの手のひらが、マイクの腹部に当てられる。
「ハーヴィー・・・好き。・・・仔ウサギが産まれなくても、僕を好きでいてくれる?」
「ああ。君がマイク・ロスである限り」
ハーヴィーがマイクの腹部にキスをした。
「くすぐったいよ・・・」
マイクが指先をハーヴィーの髪の中に差し込んだ。
そこはかとない、幸せな時間が、寝室に流れ始めた。
暖かくて、柔らかい、時間が。
END