こんな朝の風景

「うっそー!!!!!!」

その日の朝はマイクの絶叫から始まった。とは言っても、初めてのことではない。バタバタバタと、体にリネンを巻きつけたマイクが、寝室から飛び出してきて、ソファでコーヒーを飲むハーヴィーの横を駆け抜けて行った。

「いっつも思うけど、起こしてよねっ!あ、おはよ、ハーヴィー!」

という言葉を残して。

「俺は起こしたんがな、10回くらい・・・」

と、ボソッと宙に呟いて、ハーヴィーは新聞を広げた。それから5分後、腰にバスタオルを巻きつけたマイクがバタバタバタとハーヴィーの横を走り抜けて行った。

「僕もコーヒーぐらい飲みたーい!!!」

と叫びながら。

「まあ、俺の飲み差しを飲むだろうから、いいか」

といつものパターンを思い起こしつつ、ハーヴィーは再び宙に向かって呟いた。

それから3分後。

「まっずー!!!!今日までってハーヴィーに言われた資料どこだっけー!!!!!」

今度はワイシャツと黒い靴下姿のマイクが寝室からダッシュで現れた。着替えの最中に、書類のことが気になったのだろう。

「あれ?あれ?あれ?」

ひとしきり、リビングを駆けずり回って書類を探し、最終的にハーヴィーが座るソファと反対側のソファに置いた、愛用メッセンジャー・バッグを探るマイク。その姿を見て、ハーヴィーは「おや?」っと思った。そして、広げた新聞の影からその姿を凝視する。そして、「ほう・・・」と心の中で感嘆の声をあげた。なんとマイクはボクサーパンツを履いていなかった。そして本人はそのことに気づいていないらしい。バッグをガソゴソする後ろ姿。腰を軽く突き出しているので、ワイシャツの裾から、昨夜味わった白い尻が見えている。これは、眼福。ワイシャツからすらりと伸びた引き締まった脚先を包む黒い靴下がチラ見えしているのもいい。

「ねえ、ハーヴィー、知らない?書類・・・昨夜見せたよねぇ?」

尻をこちらに突き出したまま、顔だけをハーヴィーに振り向かせる様は、凶器並みに可愛らしい。なので、ハーヴィーはその笑顔という名の凶器に屈することにした。嬉々として。

「そうだな。見たな」

そう言って立ち上がると、ソファでオロオロしているマイクの腕を取って寝室に促した。

「あ、え?寝室?そうだっけ?僕、リビングで見せたような気が・・・うわっ!!!」

マイクの体は、ポーンとベッドの上に放り投げられた。スプリングのせいで、体が数度バウンドする。

「何、すんの!!!ハーヴィー!!!」

ギャンギャン騒ぎ出すマイクの胸に左手を当てて、その動きを制する。もちろん、その瞳も使って。マイクの足を左右に割り、その間に体を落ち着ける。

「・・・は、ハーヴィー・・・?まさか・・・その・・・えっと・・・しない・・・よね?だって・・・朝だし・・・ね?」

「いや、する」

「ちょっと!僕、遅刻しちゃうよ!」

「上司の俺が許す。フレックスだ」

「うちの事務所にそんなシステムないでしょー!!!!」

「特例だ」

「やっ・・・ハーヴィーっ!!」

ハーヴィーは自分の前を素早くくつろげると、昨日愛してやった場所に指を差し込んだ。そこはまだぬめりとしていて、柔らかかった。

「あ・・・や・・・」

「遅刻が嫌なんだろう?すぐに挿れてやるから、安心しろ」

「しっ・・・しないのが。一番だよぅ・・・ひゃ・・・」

言葉で抵抗するも、すでにハーヴィーの切っ先はマイクの中に侵入している。ハーヴィーはマイクの表情を伺いながら、腰を推し進めた。

ハーヴィーの大きさと形を覚えこんだそこは、いとも簡単に、ハーヴィーを受け入れて受け止める。

「はっ・・・あ・・・あ・・・や・・・ずるいよ・・・なんか・・・なんで、こうなんの・・・」

「それは君が俺を誘ったからだろう」

「さ、誘っていないもん!」

「パンツも履かずに目の前をうろつかれたから、誘われているのかと」

「慌ててたんだってば!!!・・・あっ・・・ひ・・・」

ハーヴィーは右手でマイクの脚を掴み、左手で、マイク自身を可愛がり始めた。すぐにそこは、硬く、形を成し始めた。ピストンはゆっくりめ。わざと焦らすような動き。けれども、左手はマイクをいいように弄ぶ。

「あ・・・あ・・・あ・・・あ・・・」

「・・・気持ちいいか?」

マイクは、目を瞑ってコクコクと頷いた。時間がどうあれ、場所がどうあれ、ハーヴィーに触られて気持ちよくならないわけがない。体がぞくりと粟立った。

「ひっ・・・」

「イきたいか」

再び、マイクはコクコクと頷いた。

ハーヴィーはそんなマイクの反応に満足そうに笑いながら、黒い靴下に包まれた脚にキスをする。その刺激に、マイクは思わず、瞑っていた目を開いた。

「あっ・・・」

昨夜、あれだけイったのに、まだ自分はイケるのか、と思ってしまう。ハーヴィーの手の中で白濁が弾ける。その刺激に思わず、後ろを締め付ける。まだ、ハーヴィーは達していない。黒い靴下の上からマイクの脚を吸っている。ゆったりとしていながらも、自分の奥を抉ろうとするハーヴィーの動きに、マイクは思わず、自分の左手をハーヴィーの膝に当てた。このままでは、またイってしまう。腰を引きたい。けれども、そんなことをハーヴィーが許すはずもなく、グイグイとマイクの奥を、再奥を目指して動く。

「う・・・」

もう、マイクは涙目だった。気持ちの良さとか、仕事のこととか、書類のこととか、遅刻のこととか、いろいろな思考がないまぜになる。どうして、この愛する人はいつだって余裕なんだろうと思う。いつも自分だけが翻弄されているような気になる。

マイクはハーヴィーの膝に当てた手の指先に一瞬、力を入れそうになったが、彼のスーツが皺になってはいけないと思い留まった。そうして、もう一度目を瞑り、自分の中を優しく荒らす、凶暴でありながらも温かな杭を感じる。自分の内部を押し広げ、犯し、熱を注いでくれる、愛しい杭を。

「・・・ル・・・ルイスに怒られそうになったら・・・守ってよ・・・?」

「ああ。じゃあ、今日は一日中、俺のオフィスで仕事をすればいい。ドナという強力な門番がいるからな。それと、君が用意した書類は、キッチンカウンターの上だ」

「・・・わ、わかってるなら、教えてよ~!!!」

「君のだらしがない格好の慌てぶりを鑑賞するのが楽しくてな」

そう言って、ハーヴィーは絶頂を求めてピストンを早くした。マイクの手は、まだハーヴィーの膝に当てられたままだったが、それはさっきとは意味合いが違い、自分の体を支え、安定させるためだった。こうなってしまったら、もう楽しんだ方がいい。どうしたって、ハーヴィーに勝てるはずなんかないのだから。ベッドサイドの時計をみようと思ったが、それはやめて、静かに目を瞑った。そうして、揺り動かされるリズムを全身で感じ取ることに集中する。まだ、ハーヴィーの手の中にある自分自身が再び昂ぶってくるのがわかる。何度イけば満足するのか。自分は相当はしたないなぁ・・・と思いながらも、ハーヴィーが自分の中で弾けるその瞬間を、心待ちにするマイクだった。

END